甲南大学図書館様

学生が在籍する4年間の機会を最大限に尊重するべく、
OPACの表現力に優れた「ネオシリウス」シリーズを採用。

「Student First(スチューデント・ファースト)」を掲げる甲南大学では、2015年、図書館システムの選定でOPACの機能と操作性、また、価格競争力に優れた「ネオシリウス」を採用しました。その後「ネオシリウス・クラウド」へ移行、システムは3つのキャンパスを持つ同学で学生の幅広い学びを支援しています。また、同学では貴重な歴史資料のデジタル公開にNJCの提供するデジタルアーカイブシステム「InfoLib」も活用しています。

お客様プロフィール

甲南大学 様

1923年に関西財界の重鎮・平生釟三郎によって創設された「甲南学園」を母体とする、兵庫県神戸市に本部を置く私立の総合大学です。建学の精神である「人格の修養と健康の増進、学問の研鑽」を受け継ぎ、文理融合の教育と、学生一人ひとりの個性と可能性を尊重する少人数教育を特色としています。また、地域社会や世界とのつながりを意識した教育・研究活動も展開しており、知性と人間性の調和を重んじる学びの場を提供しています。

ポイント

  • 「Student First」で学生の利便性を最重視する、OPACの表現力を高く評価
  • 標準サービスとして定期的にバージョンアップを実施。別途の費用負担が不要
  • 3キャンパスの図書館がサービスを連携。全学生の幅広い学びを支援

時代の要請に応えて進化を続ける関西私学の雄

甲南大学は、兵庫県・神戸市に拠点を置く、「人格の修養と健康の増進、学問の研鑽」を建学の精神とする私立の総合大学です。少人数制を活かした対話型授業や、実社会と連動した実践的な学びを通じて、主体的に考え行動できる人材の育成に力を注いでいます。2026年4月には“進化型理系構想”に基づき、理工学部の学科構成が大きく改組される予定で、時代の要請に応える教育を提供するため、大学自体も進化を続けています。

同大学はまた、「学生を最優先にする教育支援の文化」を構築するために「Student First」を掲げています。職員組織全体が学生目線に立つ風土づくりを進め、部署ごとに学生支援の目標を策定・共有。すべての職員が主体的に学生支援を意識する取り組みが展開されています。

そうした中、学生の生活と学びを支える場となっているのが甲南大学図書館です。中央館と複数の分室からなる複合図書館で、開架書架には学生が利用しやすい和書や語学学習用の洋書を配置、研究用資料は書庫に収蔵する方式を採用。過去の水害経験から、書庫を地下ではなく上層階に設置している点も大きな特徴です。同大学には、学部の持つ共同研究室・図書室や、西宮キャンパス、ポートアイランドキャンパスにも図書室があり、甲南大学図書館はその中央図書館として、また大学を代表する知の発信基地としての役割も果たしています。

「Student First」 を掲げる甲南大学。館内では学生による企画も盛んに開催されている

OPACを評価し「ネオシリウス」を導入、次は「ネオシリウス・クラウド」へ

2015年、図書館の活動を支える図書館システムが更改時期を迎えました。既存システムは、パッケージにコストをかけてしっかりカスタマイズを施した大がかりなシステムでした。業務へのフィット感は高かったのですが、バージョンアップのたびに保守料とは別に多額のコストがかかるのが難点でした。更改時、こうした課題を図書館、財務部、情報システム室で議論し、複数の候補製品を比較検討した結果、選ばれたのが日本事務器の大学図書館情報システム 「ネオシリウス」でした。甲南大学 図書館事務室 課長補佐 高野 重成氏は選定の理由を次のように語ります。

「OPACが優れていました。自動的に書影が表示されたり日外アソシエーツの「BOOK」データベースなどと連携して目次や内容が表示できたりと、学生にとってのユーザビリティが高いと思います。特に書影は読書欲を喚起する上で非常に重要です。本学は「Student First」を掲げており、学生が在籍する4年間の機会を最大限に尊重する上でも、学生にとって使い勝手の良いシステムであることは不可欠でした。業務システム的には他社製品の提案も一考の余地はあり、同じメーカーの製品を使い続ける方がデータ移行が容易といった面もありましたが、『ネオシリウス』の学生に訴える力はそれを上回っていました」

さらに、システムコストという点でも、「ネオシリウス」には利点がありました。製品自体が比較的安価であり、保守料の範囲内でバージョンアップも可能であるため、契約期間中に別途コストがかかりません。限りある予算を有効に活用できると判断されての採用でした。導入の結果、図書館システムにかかるコストは財務部が高評価するほど劇的に低減しました。

そして新たな更改時期を迎えた2024年、同図書館は次期システムに「ネオシリウス・クラウド」を指名します。これもコスト効率を考えた選択でした。アーキテクチャとしては、オンプレミスのままと言う選択肢もありましたが、オンプレミスの場合、データベースソフトの利用にコストが別途発生します。このデータベースソフトのライセンス料が問題視されました。「ネオシリウス・クラウド」にはあらかじめこのコストが包含されているため、大学としてはライセンス管理を考えなくてもよくなるのが大きなポイントでした。

初めてのクラウド導入で、必要な設備機器の調達、セキュリティ観点から導入を決めた専用回線の敷設には手間と時間がかかりました。特に専用回線工事は、令和6年能登半島地震の影響を受けてキャリア側の動きが遅滞、本来は夏に予定していた開通が半年後の冬まで延びてしまうなど、様々な問題を一つずつクリアしながらの導入でした。

貴重な歴史資料のデジタル公開に「InfoLib」を活用

同図書館では、ネオシリウスを導入したのと同じ2015年から日本事務器の提供するデジタルアーカイブシステム「InfoLib」も活用しています。

最初に公開したコンテンツは、甲南大学図書館で所蔵している九鬼周造文庫です。九鬼周造氏は京都学派に連なる著名な哲学者で、旧制甲南高等学校の校長だった天野貞祐氏と深い交遊がありました。この天野氏の斡旋により、その蔵書を旧制甲南高等学校が受け入れたのが九鬼周造文庫の始まりで、後に遺品や手稿も寄贈されました。こうした貴重な一次資料が公開された結果、今や海外の研究機関からも頻繁にアクセスされています。その後、甲南学園史資料を追加公開し、2025年1月には震災後30年に合わせ阪神・淡路大震災資料が「学園が震えた日」として一般公開されました。特に後者は在校生に当時の惨状を伝え継ぐ重要なメディアともなっています。

コストを抑制しつつ、「Student First」で全学生の幅広い学びを支援

「ネオシリウス」「ネオシリウス・クラウド」は、OPACの表現力と包括的な意味でコストパフォーマンスに優れた大学図書館システムとして、甲南大学図書館で10年以上にわたって利用されています。キャンパスが3つある同大学では、キャンパスからキャンパスへ蔵書を運ぶ取り寄せ処理も発生しますが、滞りなく機能を発揮しており、学生の幅広い学びを支援しています。幅広い学びという観点では、従来は学部での利用に限られていた共同研究室・図書室の蔵書も「ネオシリウス」シリーズになって検索・予約が可能になり、学生にとってより身近に書籍へアクセスできるようになりました。

甲南大学図書館と日本事務器は定期的にオンライン会議の機会を持っており、バージョンアップ予定や新機能の内容といった情報を共有する場となっています。高野氏は、「定例会はまとまって情報を得られるよい機会、日本事務器には事案の進捗に関わらず、こまめに情報を出してもらえるとありがたい」と語ります。

今後、甲南大学生の学びを支える大学図書館として、よりきめ細やかな学生サービスを実現するだけでなく、電子コンテンツも活用しつつ有限の所蔵スペースを最大活用し、研究活動に資する資料組織にも注力していきたいとのことで、多様なデータベースとも連携ができる「ネオシリウス・クラウド」に引き続き大きな期待が寄せられています。

甲南大学図書館はこれからも「ネオシリウス・クラウド」を使用し、
「Student First」を実現、教育・研究活動をサポートしていく

取材にご対応いただいた方

甲南大学 図書館事務室 課長補佐 高野 重成 氏

※ 取材日時:2025年7月16日
※ 本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。