日本事務器株式会社(自社事例) ~「Amazon WorkSpaces+Chromebook」によるワークスタイル改革~

社員にとって働きやすく会社にとっても生産性が上がるオフィスを目指し、「ワークスタイル改革」プロジェクトに取り組んでいます。

(写真左から経営企画部長 黒崎秀二、人事部 チーフ 並木紀子、首都圏支社 ニューソリューション営業部 山本美菜子、経営企画部IT企画グループ コンサルタント 浅野利也)

日本事務器では、社員にとって働きやすく会社にとっても生産性が上がる、新しい働き方にチャレンジしています。今回は、その一環としての「Amazon WorkSpaces + Chromebook」の自社導入事例をご紹介します。

日本事務器の新しい働き方「ワークスタイル改革」プロジェクト

今回の「Amazon WorkSpaces+Chromebook」の導入の前提である、日本事務器の「ワークスタイル改革」について教えてください。

弊社では、2015年8月より全社を挙げて「ワークスタイル改革」プロジェクトに取り組んでいます。プロジェクトの目的は次の3点です。

 

(経営企画部長 黒崎秀二)

第一の目的は「生産性の向上」です。今後、労働人口の減少が懸念される中、企業として成長し続けるには、従業員の就業環境をより良いものにし、社員の生産性を向上する必要があります。道具の配備や、しくみの整備により本人のみならず、「まわりの人の生産性向上」も狙いのひとつです。

第二に「社員が創造性を発揮できる環境」が必要です。IT企業として顧客の課題を解決しビジネス機会を創出するには、まず自社が率先して問題を解決する(=ソリューションを確立する)必要があります。そのために必要なのは柔軟かつ創造性に富んだ発想力です。それを実現できる働きやすく魅力あふれるオフィス環境を実現したいと考えました。

第三に「場所にとらわれない働き方」の確立も必要です。複数のお客様に訪問する場合、アポイントの間の時間を有効活用するため、時にはカフェなどで作業を行うこともあるでしょう。また介護や育児に関わる社員にはテレワークが適しているかもしれません。多様な働き方を可能とすることで社員がいきいきと健康に働くことのできる職場環境の実現を図っています。こうした魅力あるオフィス作りは、優秀な人材の採用、流出防止はもちろんのこと、悪天候や事故などによる公共機関の乱れなど、出社するために多大なエネルギーを要する際の対策としても有効だと考えています。

この「ワークスタイル改革」のモデルケースを作るために、2016年5月より首都圏支社(東京都渋谷区、1フロア 140名勤務)と2016年7月より郡山営業所(福島県郡山市、1フロア 10名勤務)の2拠点で、施策を実施、加えて、新入社員に対しては、クラウドネイティブなマインドセットで仕事ができるよう、初めからChromebookを配備しました。現在は、これらのモデルケースをベースに本社および全国の拠点に対し、順次導入しています。

フリーアドレスと仮想デスクトップの導入

どんな施策を実施しているのでしょうか。

まずパイロットオフィスの両拠点で「フリーアドレス」を導入しました。

従来は「固定された座席にデスクトップパソコンがあり、毎朝出社したら同じ席に着いて仕事をする」という就業環境でした。

一方フリーアドレスでは、その時の仕事内容に合わせて最適な作業場所(座席)で最適な仕事ができるよう、多種多様な働く場所の選択肢を用意しています。例えば「大きな画面を使って仕事がしたい」「邪魔されず集中して仕事がしたい」、「他のメンバーと相談しながら仕事がしたい」など、様々なニーズに応じて自由に場所を選んで仕事ができるようになります。

この「フリーアドレス」を実現するには、IT環境も場所に縛られない柔軟なものである必要があります。

また、弊社では、G Suite(旧Google Apps)やSalesforceなど、クラウド型のグループウェアやアプリケーションを導入した結果、一般的な社員は、外部サイトへのアクセスも含めた通常業務のうち、約8割くらいがWebブラウザを使用しての仕事、約2割がWindowsのアプリケーションを使用した仕事となっていたため、Webブラウザ上で全ての作業を行うことに特化している「Chromebook」 とWindowsの仮想デスクトップとして利用できる「Amazon WorkSpaces」の組み合わせを採用しました。

 

※Chromebook:Googleが開発したオペレーティングシステム「Google Chrome OS」を搭載し、全ての作業をWebブラウザ上で行うことに特化して作られたノートパソコンのシリーズ。

 

※Amazon WorkSpaces:クラウドで動作する、仮想デスクトップコンピューティングサービス。Desktop as a Service=DaaSと呼ばれ、様々な端末をWindowsの仮想デスクトップとして利用できる。

「通常業務はChromebook。Windows環境が必要な場合はAmazon WorkSpaces」

「ChromebookとAmazon WorkSpaces」の活用とは具体的には。

大きくは「通常業務はChromebookで直接インターネットにアクセス、Windows環境が必要な場合はAmazon WorkSpacesに接続」というコンセプトで使っています。具体的には次のとおりです。

 

【通常業務(Chromebook)】

外部サイトへのアクセスやG Suite(旧Google Apps)でのメール、チャット、文書作成、表計算など、Webブラウザを使った通常業務は、Chromebook上のGoogle Chromeから直接アクセスして行います。

 

【顧客対応などWindowsが必要な場合(Amazon WorkSpaces)】

顧客とのやりとりなどWindows環境が必要な場合は、Amazon WorkSpacesをGoogle Chrome内に仮想デスクトップ(画面転送)の形で呼び出し、Amazon WorkSpaces内のWindows環境でオープンします。

 

【セキュリティ】

Chromebookでは、データはノートパソコンに保存されません。すべてのデータは遠隔サーバに蓄積されます。Amazon WorkSpacesも同様です。別の場所でデータを使用したい場合は、USBメモリにデータをコピーして持ち歩く必要がありましたが、この仕組みにより、そうした習慣がなくなり、社員がノートパソコンを持ち歩いて仕事をしても、セキュリティが確保できます。盗難や紛失への備えになるのです。

「Amazon WorkSpaces + Chromebook」の使用感

「Amazon WorkSpaces + Chromebook」を使ってみての感想はいかがでしょうか。

(首都圏支社 ニューソリューション営業部 山本美菜子)

私の個人的な感想になりますが、「道具が変わるだけで、働き方が予想以上に変わった」という実感があります。

 

以前は出社すればまず自分の席に座っていました。しかし今は朝来ても「自分の席」はありません。これだけでも朝、仕事を始めるときの意識は大きく変わります。

 

今では全員がChromebookを持っています。ちょっと相談をしたい、打合せをしたいという場合、片手にかかえてさっと集り、G Suiteで資料を共有しながら打ち合わせを進める、そんなことが増えてきました。

Chromebookを使えば社内でも社外でも同じ環境で仕事ができます。今までは、お客様への訪問した後にまだ仕事が残っているときは、いったん会社に戻るしかありませんでした。でも今はコワーキングスペースを探して、そこで仕事を終えてから直帰することが可能になりました。Chromebookの導入により、スキマ時間が有効に活用できるんです。

 

また仕事の進め方も変わりました。私は以前はノート派、手書きメモ派でしたが、今はChromebookのメモ機能を積極活用しています。Chromebookに書き込めば、その後、社内で情報共有するときにも転記が不要になるので効率的です。

 

これまで「一部社員へのノートパソコン配備」「一部社員へのiPad配備」という施策はありました。しかし一部社員への配備だけではやっぱり会社全体の働き方の変化にはつながりにくい気がします。またiPadでは、できる業務に制限があり、結局は外出先から会社に戻らざるを得ませんでした。これに比べると「全社員へのChromebook配備」はとても良いと思います。

 

また使ってみて実感するのは、Chromebookは軽く、そして電池が長持ちします。ノートパソコンは、「いつでも使う道具」なので、こういう実用性はとても大事です。

 

ChromebookとAmazon WorkSpacesの活用は、訪問先のお客様も興味を示してくださいます。具体的な仕組みや使い方について質問されることも度々あります。

 

(弊社 首都圏支社オフィス)

テレワークの取り組み

「Amazon WorkSpaces + Chromebook」によるテレワークの取り組みについて教えてください。

(人事部 チーフ 並木紀子)

弊社では人事部を中心にして「ワークスタイル改革」のため各種取り組みを行っています。その一環として自宅など、会社から離れた場所でも働くことができる「テレワーク」にも取り組んでいます。

 

まずは2016年6月~8月の3ヶ月、全国の37名の社員の協力をあおいで、テレワークのテストを行いました。テレワークが必要になるのは「介護や育児をしている社員」と思われがちですが、テストでは職種や等級を限定せず、「通常の在宅勤務」「介護しながらの在宅勤務」「要介護の両親が住む実家での勤務」など様々な勤務形態を想定し、「Amazon WorkSpaces + Chromebook」を使って、実際に在宅勤務をしてもらいました。

テストに参加した社員は「自宅なのに会社にいるときと変わらず社内システムに接続できる」ことに驚いていました。会社ではデスクトップパソコンを使って勤務している社員からも「使い勝手に多少の違いはあるが、これなら十分に使える」という声が寄せられました。

 

テレワークが実現できれば、「育児・介護と仕事を両立できる」「家族と過ごす時間が増やせる」「通勤時間が短くできる」などの様々な効果が生まれます。ワークライフバランスを実現し、社員の心身の健康と企業としての生産性向上を両立させることができます。

 

弊社のテレワークは、2017年1月に本格実施を開始いたしました。対象は「全社員(一部新入社員をのぞく)」となります。対象を育児や介護をしている社員に限定することなく、すべての社員がテレワークを活用できる制度となっています。

「Amazon WorkSpaces + Chromebook」ならアカウントの追加が不要

情報システム管理部門の視点から見た「Amazon WorkSpaces + Chromebook」への評価をお聞かせください。

(経営企画部IT企画グループ コンサルタント 浅野利也)

情報システム管理部門の点から見た評価は次のとおりです。

既存のアカウント資産が有効活用できた」(Chromebook、Amazon WorkSpaces)

「固定席でのデスクトップパソコン」から「フリーアドレス」を実現する際にAmazon WorkSpaces + Chromebookという組み合わせを考えました。弊社ではG SuiteアカウントとWindowsのアクティブディレクトリアカウントを連携して利用していますが、これらのアカウントがそのままChromebook、Amazon WorkSpacesで利用でき、新たなアカウント発行は必要ありませんでした。

既存のアカウント資産が使えることは、「IT管理工数の削減」「現場社員の煩わしさの軽減」の両面においてとても効果的でした。

「Windows OSの管理工数の低減」(Amazon WorkSpaces)
従来は、仮想デスクトップを導入しようとする場合、複数のデスクトップを統括するための管理サーバを設置し、自社で管理する必要がありました。

一方、Amazon WorkSpacesではデスクトップコンピューティングインフラストラクチャの管理を省力化でき、設備投資が不要になります。

この他、Microsoft Officeライセンスをオプション追加できるので、ライセンス管理の点でもメリットがあります。

「確実な管理と自由な持ち運びの両立」(Chromebook
Chromebookの社外への持ち出しについては、申請・承認などのプロセスは原則廃止しました。

Chromebookの使用状況については、社内Wi-Fiへの接続状況をモニタリングし、接続が確認されることで、存在を管理しています。一週間、社内Wi-Fiへの接続が確認されない場合、自動的にアラートが発せられます。様々な要因が考えられますので、そのChromebookの持ち主である社員に、なぜ長期間接続していないのか、その理由を申告してもらうことにしています。

今後の展開

「Amazon WorkSpaces + Chromebook」の今後の展開を教えてください。

Amazon WorkSpaces + Chromebookは2拠点でのパイロット導入を経て、全社に展開中です。具体的には2017年度で合計800台程度のChromebook導入を検討しています。

エンジニア部門からは「フルキーボードが使えないと生産性が下がる可能性もある」という声も上がりましたが、Amazon WorkSpacesは「PCoIP」というスタンダードな規格で提供されるため、「ゼロクライアント+フルキーボード+マウス」のバリエーションを増やすことでPCに依存しない開発環境を整備していきます。

加えて、開発業務やお客様サポート業務のためには、Amazon WorkSpaces + Chromebookとは別にAWS上に設置している開発クラウドの活用など、柔軟かつ確実に対応していきたいと考えています。

弊社では「働く場」、「IT」、「Change Management」の3要素を掛け合わせた新しい働き方を、まず自ら体験、イノベーションを起こすことでお客様にご提案できるビジネスを創出していきたいと考えています。今回の取り組みも「Ezharness DaaS Plus」として2016年8月にサービスをリリースいたしました。ひきつづきデジタルワークスタイルへのシフトなど、各種取組みを推進してまいります。

日本事務器株式会社

所在地 東京都渋谷区本町三丁目12番1号 住友不動産西新宿ビル6号館
設立 1924年
事業概要 コンサルティング(経営、情報システム)/情報システム開発/情報システムの運用と保守(システム運用、メンテナンス、監視サービス、ヘルプデスク)などトータルソリューションサービス
会社情報 https://www.njc.co.jp/company/

※ 本事例に記載されている情報は掲載時(2017年3月)のものです。
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※ Amazon、Amazon Web Services、Amazon Virtual Private Cloud、Amazon Simple Storage Service、Amazon S3は、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。