医療法人 実風会 新生病院様
「病院経営に有益な指標を手軽に算出できるツール「MAPSCHART」をご提案いただき、すぐに導入。さらなる期待を持って活用しています」
医療法人 実風会 新生病院 事務局長 藤本 知弘氏に病院経営指標サービス「MAPSCHART」を導入した経緯と効果について詳しく伺いました。
お客様プロフィール
1960年6月設立。2004年2月に神戸市中央区から現所在地の西区の移転。以来、地域に根付いた精神科医療を提供し続けています。
入院医療では精神科の急性期医療、ストレスケア、認知症の医療、身体合併症に対する適切な治療を重要項目と位置付け、さらに入院中の精神科リハビリテーション、デイケアでは社会参加・社会復帰に必要な知識や生活スキルなどの習得を楽しく身に付けられるプログラムやケア環境を提供。また、在宅で通院されている方への訪問看護、ご家族のストレスを軽減するためのご家族支援プログラムなども実施しています。
関連施設として、実風会 心療クリニック、グループホーム「ひまわり」も開設。
理事長:宮軒 將
所在地:〒651-2124 神戸市西区伊川谷町潤和字横尾238-475
病床数:168床(認知症疾患治療病棟:60床、精神科急性期治療病棟:60床、精神科救急病棟:48床)
関連施設:グループホーム ひまわりホーム、実風会 心療クリニック
【病院のIT化状況】
日本事務器(株)の製品にリプレース
新生病院様のIT化状況をお聞かせください。
まず2018年10月、新しく開院した当院の関連施設、実風会 心療クリニックに日本事務器さんの精神科向けオーダリングシステム「Live」と医事会計システム「MAPSIBARS/C」を導入しました。これを踏まえ、2020年2月には当院もリプレースする運びとなり、同じく精神科向けオーダリングシステム「Live」と医事会計システム「MAPSIBARS/C」を導入。カルテに関しては、紙カルテからの脱却を目指し、2022年に当院および実風会 心療クリニックともに精神科向け電子カルテシステム「Live」の契約を締結しました。
現在、2023年3月の稼働に向けて、日本事務器さんに精神科向け電子カルテシステム「Live」を構築いただいています。
【導入に至った背景】
日本事務器(株)のサポート力を評価
リプレースの理由をお聞かせいただけますでしょうか。
当院は精神病院のなかで急性期および救急を受け入れている医療機関です。いかなる場合でも、医療提供を止めることはできません。システムも同様です。オーダリングシステムや医事会計システムが止まってしまうと医療が滞ってしまいますから、常時、稼働させておかなければなりません。
もちろん、どんなシステムでもトラブルがないとは言えませんから、トラブルに対する備えは必要。当院としてはトラブルが発生したとき、すぐに駆けつけてくれるベンダーなら安心できます。日本事務器さんは当院に何度も足を運んでいただいただけでなく、そういったトラブルがあった場合にはすぐに対応すると確約してくれました。
実際、日本事務器さんは日本全国に拠点を持つ大手のベンダーです。導入したシステムで病院が困った際には、最短で誰かが駆けつけてくれるとのことで、当院としては安心できると判断しました。そこで、日本事務器さんの製品にリプレースさせていただくことにしました。
【「MAPSCHART」の導入理由】
事務部門として経営状況を把握しておきたい
今回、病院経営指標サービス「MAPSCHART」を導入されましたが、その理由をお聞かせください。
地域住民の方々に安心かつ高品質な医療を提供し続けていくには、常日頃から病院の経営状況を把握することが大事だと考えていました。前事務局長はデータを集めてExcelで集計していたようですが、私はExcelに精通していませんから、そこまではできません。仮にできたとしても、作業の負担が大きいため、他の業務に影響が出てしまう可能性があります。
もちろん、何もしていなかったわけではありません。インターネットで行う医療費保険請求データを活用し分析するツールを使ったこともありました。しかし、オペレーションが悪かったのか、目的の指標は得られませんでした。病院経営に有益な指標を手軽に算出できるツールが欲しいと考えていたところ、タイミング良く日本事務器さんからご提案いただいたのが「MAPSCHART」でした。安価だったこともあり、すぐに導入させていただきました。
【「MAPSCHART」の活用状況】
外来患者数や医師の診療指標を確認
「MAPSCHART」導入後、どのようなことに活用されていますか。
現在は主に以下のようなところで活用しています。
<外来患者の把握>
救急や入院などについては病院経営的には問題ありませんが、一方で外来離れが起きてないかという心配があります。特に外来患者数が増加すると待ち時間も増えますから、ケアを疎かにしてしまうと外来離れという状況に陥りかねません。そこで、定期的に外来患者数をチェックしています。
<医師別の診療内容確認>
オーダリングシステムのデータをベースに、医師がどんな診療をしたかを確認しています。もちろん、高い診療を施せばいいというわけではありません。大前提は患者様への適切な診療です。そのうえで、病院経営に貢献する診療報酬を両立できているか、その辺りを確認させていただいています。ただし、現在はオーダリングシステムベースのデータで、担当の医師とは別の医師がオーダーしている可能性があるため、100%信頼できるデータではありません。参考として見ている状況です。電子カルテシステムが稼働すれは、より正確なデータが得られると期待しています。
<月別の診療報酬>
月別に確認できる診療報酬も見ています。ただし、現在は月別の上下を確認する程度。機能の問題ではなく、一年程度のデータでは情報として足りてないと感じているからです。3年以上データを蓄積し、年単位で比較することができれば、病院経営の参考になると考えています。
【電子カルテ稼働後の活用】
病院経営と医療技術の向上と平準化に役立てたい
こうした指標をどのように生かしていくか、現在のお考えをお聞かせください。
まず、電子カルテシステムが稼働してからが本番だと思っています。稼働後、実現したいと考えているのは以下の点です。
<診療報酬の記載漏れ防止>
幅広い診療報酬がある内科や外科とは異なり、精神科の場合は診療報酬がかなり限られています。しかも、医師は医療に集中するあまり、カルテへの記載漏れが少なくありません。そのため、医事課がカルテをチェックするという手間が発生していました。我々が期待するのは、まさにこの診療報酬のところです。電子カルテシステムが稼働し「MAPSCHART」で分析できれば、診療とオーダリングをチェックして医師ごとの診療報酬を可視化することができるはずです。病院経営に気配りしなければならない我々とすれば、診療報酬に落とし込めるシステムを確立できるのは喜ばしい限りです。
<医療技術の平準化>
医師にはベテランもいれば若手や新人もいます。当然、ベテランと新人とでは経験が異なりますから、医療技術にも差が生じてきます。当院としては、若手や新人の医師に早く一人前になってもらいたい想いがありますから、現在は1グループ4人のグループを3グループ形成し、ベテラン医師の指導のもと、勉強会や医局内の発表会などを通じて医療技術の向上と平準化を促す取り組みを行っています。 この取り組みに「MAPSCHART」が役立つと思っています。例えば、ベテランと新人医師の医療行為の統計を「MAPS CHART」で比較すると、バラツキがあることが分かります。この統計をもとにベテラン医師が指導を行い、バラツキが少なくなってくれば、医療技術が向上し平準化されたと判断できます。
このように「MAPSCHART」は、統計という数字的なエビデンスを提供してくれますから、医療技術を満たしているところ、足りないところが一目瞭然。ベテランも新人も納得感が得られるはずです。上手に活用すれば、医療技術の向上と平準化が加速すると考えています。
【今後の期待】
「MAPSCHART」のさらなる機能強化に期待
最後に「MAPSCHART」への期待をお願いします。
「MAPSCHART」に期待するのは、さらなる分析機能の強化です。当院としては「MAPSCHART」の分析による指標が素晴らしいと感じているからこそ、「あれもこれも」とより多くの分析を求めてしまいます。幸いにも「MAPSCHART」は年に2回、標準指標の拡充を行っているとのこと。実際、当院の要望を反映させていただきましたし、今後も要望を伝えていきたいと思っています。
ビジネスシーンではさまざまな指標が得られるBIツールが多数あるようですが、医療向けとなる選択肢が限られてしまいます。そうしたなか、日本事務器さんは本格的な病院経営指標サービス「MAPSCHART」をリリースしてくれました。当院としては多いに期待しています。引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。
※ 取材日時:2022年10月
※ 本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。