一般財団法人 脳神経疾患研究所 附属 総合南東北病院様


一般財団法人 脳神経疾患研究所 附属 総合南東北病院 予防医学研究センター 予防医学事業課 兼 PET事業本部 課長心得 佐々木正司氏、IT医療情報課 係長 医療情報技師・診療情報管理士 蒲生 金哉氏に、総合健康管理システム「CARNAS」を導入した経緯と効果について詳しく伺いました。

お客様プロフィール

福島県をはじめ東北、首都圏、大阪など6都府県で、病院・診療所・介護老人保健施設・特別養護老人ホーム・障がい者支援施設などを展開する医療・福祉の総合企業体「南東北グループ」の中核施設。南東北グループは、2007年に東京都中野区に国内最大規模の総合福祉施設「江古田の森」、2008年には陽子線治療施設「南東北がん陽子線治療センター」、2018年には「大阪なんばクリニック」をオープンさせるなど、現在の施設・事業所の数は約100を数える。がんに関する医療技術および施設は国内有数。放射線治療、外科的治療、化学療法など

すべてにおいて国内外から高い評価を受けている。さらに、がん治療への新たな取り組みとして「南東北BNCT研究センター」を開設。本格的な臨床への応用を目指している。理念は「すべては、患者さんのために」。これからも、地域社会にとっての癒やしとなり、支えとなる活動を行っていく。

【導入の経緯】保守が切れるタイミングで電子カルテとの連動などを目的に「CARNAS」を導入

日本事務器の健診システムを利用されてきた背景をお聞かせください。

現在、当院の健診をご利用される方は、一般の総合健診が約60人、脳検診やPETがん検診の方が約20人と、毎日約80人の方がいらっしゃいます。そうした健診に訪れた方々に、より良いサービスを提供するには健診システムが欠かせません。そこで、当院では約18年前から健診システムを利用していました。

もともとは当院の医師が開発した健診システムを利用していましたが、保守まで行うとなると手間や時間がかかるため、外部にシステム構築および保守を委託。それが日本事務器とのお付き合いの始まりです。その後、旧システムの機能を踏襲しつつ、日本事務器の総合健康管理システム「HI-net/21」へと移行し、10年ほど利用してきました。

健診システムをCARNASに更新した背景をお聞かせください。

2017年4月、日本事務器の最新の総合健康管理システム「CARNAS」に更新しました。「CARNAS」への更新は、「HI-net/21」の保守が切れるタイミングというのが大きな理由でしたが、以下の課題解決するためにも「CARNAS」が必要でした。

<電子カルテとの連携>
以前までは、電子カルテと「HI-net/21」のデータのやり取りは、血液検査の結果など一部のデータのみでした。それ以外のデータは電子カルテから参照できなかったため、医師からは「参照できるようにしてほしい」と要望がありました。そこで、この課題の解決に向けて、電子カルテとのデータ連携をスムーズに行える「CARNAS」へ更新しました。

<健診後のフォローシステム>

受診者様の健康に関してフォローするのが当院の役目ですから、健診結果において基準範囲外の値が出た方々へ再検査を促すフォローを、健診システムのフローのなかで確立できないかと思案していました。日本事務器からは、「CARNAS」なら自動的に健診データをサーチし必要に応じた再検査の案内を出力し、受診後のフォローアップが行えるとのこと。今後、より良いサービスを提供するためにも「CARNAS」への更新は必然でした。

「CARNAS」の構築イメージ

【システムの採用理由】「CARNAS」は低コストで過去の資産をスムーズに引き継げる

日本事務器の「CARNAS」のほか、検討した健診システムはありましたか。

日本事務器以外にお付き合いのあるベンダー1社に声をかけ、提案いただきました。しかし、以下の理由から日本事務器の「CARNAS」を当院の健診システムに選定しました。

<過去の資産の引き続き>
過去の健診システムから代々引き継いできたデータは膨大な量になります。そうした資産をスムーズに引き継げるかがポイントでした。「CARNAS」なら「HI-net/21」はもちろん、その前の旧システムとも親和性が高いため、データだけでなく以前から使っている独自のプログラムも移植することができます。

<トータルコスト>
健診システムの更新はソフトウェアだけではありません。日々の業務運用やネットワークシステムの端末にまで至りますから、大掛かりなシステムの更新となります。当院としては少しでもコストを抑えたいのは事実ですので、十分に比較・検討させていただきました。その結果、日本事務器の「CARNAS」は前述した過去の資産を低コストで引き継げるため、トータルコストが安価な点が魅力でした。

【導入の効果】高速化&機能アップした「CARNAS」を1サーバー3施設で運用

「CARNAS」が本稼働するまで経緯をお聞かせください。

2016年春から健診システム更新の検討に入りました。9月にはシステム構築を開始。そして2017年1月、準備としてマスタや予約データといった各種データを入れ始め、3月には「CARNAS」が無事に本稼働しています。

当院が想定していたよりも、スムーズに構築できたというのが感想です。加えて、データを整理することができたのが良かったと思っています。やはり、長くシステムを運用しているとデータが乱雑になり、また、使っていないデータも残っていたりします。今回、「CARNAS」への更新によってデータの取捨選択を行い、データを効率的に残せたと思います。

「CARNAS」の利用シーン

帳票も整理しました。例えば、内視鏡やMRの問診票などに関して、すでに使っていない帳票は出力できないようにし、新たな帳票を自動的に出力できるようにしました。これらにより、「CARNAS」ではシステム全体が「きれいになった」と実感しています。

「CARNAS」のシステム運用の特徴をお聞かせください。

当院で利用している「CARNAS」は、以下のような特徴があります。

<1サーバーを3施設で運用>

「HI-net/21」を利用している途中から、総合南東北病院・予防医学研究センター(人間ドック・脳ドック・脳検診、生活習慣病健診)とPETセンター(がん検診を専門的に実施)とで受診者様の基本情報を共通化していました。「CARNAS」に更新してからは南東北第二病院(生活習慣病・協会けんぽなどの健診を実施)を加え、1サーバーを3施設で運用しています。

3施設ともIDが一緒で、健診だけでなく電子カルテも共通化しています。もちろん、どの施設からもすべてのデータ参照が可能。例えば、総合南東北病院で人間ドックを受診後、PETがん検診の受診が必要になった場合でも、受診者様の健診データは全施設で共有できます。受診者様への手間は一切なく、当院の健診業務もスムーズに行えるシステムになっています。

<PET通過管理・進捗管理>
PETがん検診は、がん細胞だけに目印を付ける検査薬を点滴で体に投与し、専用装置で体を撮影して早期のがんを発見します。このPETの検査工程では、正確な診断画像を撮影するために綿密な通過管理・進捗管理が求められます。

予防医学研究センター 予防医学事業課
兼 PET事業本部 課長心得 佐々木 正司 氏

IT医療情報課 係長 医療情報技師・診療情報管理士
蒲生 金哉 氏

当院では「HI-net/21」の頃から受付や各検査工程の際、バーコードをチェックすることで、その時間が反映されるシステムを導入。“投薬-安静時間-撮影-休憩時間” という検査工程において、受診者様の進捗状況をリアルタイムに把握することができます。また、予定時間と実際 の時間を上下で参照できるので、検査の遅れを瞬時に把握できます。

なお、「CARNAS」では通過管理・進捗管理において、並び替え/絞り込み機能を強化しました。日付での並べ替えや4台あるPETの検査装置ごとによる絞り込みなど、検索性が大きく高まりました。これにより、通過管理・進捗管理の利便性が向上しています。

ほかに、「CARNAS」の導入効果を感じるところはありますか

「HI-net/21」の頃よりも、処理運用速度が速くなりました。処理運用速度が速くなれば、健診業務はよりスムーズになりますので業務効 率も高まります。定量化はしていませんので、具体的な数字は申し上げられませんが、3つの施設全体の動きがスピーディーになったと感じて います。

また、電子カルテとの連携においては、健診データをWebブラウザーから参照できるため、手軽だと感じます。患者様の目の前で電子カルテの診療データと健診データを相互に素早くチェックできますから、データに基づく健康状態を的確に伝えられていると思います。

さらに、今回の「CARNAS」でも、身長・体重の計測データがそのまま自動入力される運用機能を導入しました。健診のフローをスムーズにする自動化機能として、当院でも便利に活用しています。

【日本事務器への期待】どの拠点からも健診データが参照できるクラウド化に期待

今後、日本事務器およびCARNASへの期待をお願いします。

「CARNAS」のクラウド化に期待したいと考えています。実は当院の関連施設である南東北福島病院、南東北春日リハビリテーション病院、泉崎南東北診療所、さらに開院したばかりの大阪なんばクリニックにも「CARNAS」が導入されています。しかし、どの施設も単独サーバーで使用するシステムのため、健診データはその施設でしか利用できません。

クラウドで利用できるようになれば、当院はもちろん、全施設の健診データを相互に参照可能になるはずです。そうなれば、例えば、当院で健診をされた方が大阪に転居した場合でも、大阪なんばクリニックに行けば当院での健診データをベースに、より良い医療をよりスピー ディーに提供できると考えます。

クラウドになれば、受診者様もデータを自由に閲覧できるようになるでしょう。自分で健診データを入力して経年で見るアプリはたくさんありますが、クラウドとの連携なら入力の手間は必要ありません。

ホスピタリティにあふれた休憩ルーム

明るい雰囲気のPETがん検診の受付

過去と現在の健診データを分析し見比べることで、健康状態の推移も分かります。当院としても、受診者様の健診データを経年で管理できますから、受診率の向上が期待できます。

さらに、団体健診の場合、会社ごとの分析機能も欲しいところです。健診の結果を会社全体で分析できるようになれば、例えば「ほかの一般的な企業と比べて血圧が高いようです」といった報告が可能になるでしょう。当院のサービス向上につながりますし、病院の資料としても価値があります。

日本事務器に伺ったところによると、クラウド化と当院が要望する機能のほとんどは次期バージョンで達成できるとのこと。当院としては、とても楽しみです。引き続き、今後も当院への手厚いサポートをよろしくお願いします。

一般財団法人 脳神経疾患研究所 様

病院名 附属 総合南東北病院
理事長 渡邉 一夫
病院長 寺西 寧
所在地 福島県郡山市八山田七丁目115番地
開設 1981年12月
病床数 461床
主な診療科 脳神経外科、消化器外科、外科、整形外科、心臓血管外科、形成外科、呼吸器外科、麻酔科、内科、神経内科、消化器内科、循環器科、呼吸器科、気管食道科、小児科、泌尿器科、肛門科、皮膚科、性病科、リハビリテーション科、歯科、歯科口腔外科、放射線科、耳鼻咽喉科、眼科、アレルギー科、精神科、小児外科、産婦人科、救急科、放射線治療科、放射線診断科、病理診断科、矯正歯科、外傷センター

※ 取材日時 2018年11月
※ 本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。


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