一般財団法人広島県集団検診協会
メディックス広島健診センター/メディックス広島エキキタ健診センター様
「CARNAS+タブレット端末HosPadの導入により、エキキタは職員からも受診者からも先進的な健診施設として多大な評価をいただています」
新たにオープンしたメディックス広島エキキタ健診センターに総合健康管理システムCARNASおよび健診施設向けタブレット端末HosPadを導入した経緯と効果について、一般財団法人広島県集団検診協会 理事長 住吉 寛氏、検診部 部長 診療放射線技師 柳井 潤氏、検診部 検診課 主任 丸本 とも子氏、 情報管理部 情報管理課 福村 貴司氏に詳しく伺いました。
お客様プロフィール
企業健診から家族健診、個人健診まで、幅広いジャンルと最新機器設備にて検査を行い、働く方々の健康づくりをサポートする健診と人間ドック専門の施設。人間ドック専用フロアや女性専用スペースも用意するなど、ゆったりとした空間の中で快適に受診することができる。また、職場を離れにくい職種の事業所や近隣に医療機関がない事業所には、検診車を派遣する巡回健診も行っている。2019年5月には完全予約制の新たな健診施設、メディックス広島エキキタ健診センターをオープン。
理事長:住吉 寛
所在地:〒730-0051 広島市中区大手町1丁目5番17号
従業員数:常勤 約160名、非常勤 約20名(医師・診療放射線技師・看護師・臨床検査技師・保健師・事務職など)
事業内容:施設健診および巡回検診車での健康診断:人間ドック、生活習慣病予防健診、一般健診、特殊健診、行政指導による健診、保健指導、特定健診、特定保健指導、メンタルヘルス、産業医
【導入概要と施設概要】
エキキタにCARNASとタブレット端末HosPadを導入
メディックス広島エキキタ健診センターにおけるCARNASの導入概要をお聞かせください。
2019年5月にオープンした新たな健診施設、メディックス広島エキキタ健診センター(以下、エキキタ)に、メディックス広島健診センター(以下、大手町健診センター)で長年愛用してきた総合健康管理システムCARNASおよび、健診業務の効率化を目的にCARNASと連携する健診施設向けタブレット端末HosPadを導入しました。
エキキタでのフローは次の通りです。まず、受診者にはタブレット端末HosPadを渡して問診を行っていただきます。その後も、待ち時間を含めて各種健診時はHosPadを常に携帯。健診が終わり、お帰りになる際にHosPadを返却していただきます。
HosPadの導入数は受診者用が60台、スタッフ用が31台です。さらにノートパソコンも11台導入しました。
新たにCARNASを導入したエキキタについてお聞かせください。
1948年に財団法人広島労働基準検査所として発足以来、当施設は広島市民の健康を支える健診機関であり続けています。長年ご愛顧いただいていますが、繁忙期になると予約が一杯で2~3カ月待ちになる、さらに人が溢れたなかで長時間お待ちいただくなど、受診者の方々のご迷惑となってしまう課題も出ていました。我々は常々、受診者の方が安心・安全に健診や人間ドックを受けられるようにしたいと思っており、それがエキキタのオープンにつながりました。
大手町健診センターの場合、一般健診は予約なしでも受診できますが、エキキタは一般健診も人間ドックも完全予約制。ゆったりしたスペースのなか、くつろぎながら効率的に受診できるのがエキキタの大きな特長です。
【CARNASを利用し続ける理由】
しっかりした基本システムと柔軟なカスタマイズ対応に魅力
長年CARNASを使い続けてきた理由をお聞かせください。
2011年の当施設移転にともなうリニューアル以降、CARNASの前身となるバージョンから利用させていただいています。過去にもさまざまな健診システムを利用してきましたが、CARNASにたどり着き、長年使い続けている理由は以下の通りです。
<柔軟なカスタマイズ対応>
地方の特色として被爆者健診など、独自の健診に対応しなければなりません。また、法律の改正、協会けんぽの仕組みが変わるなど、外的な要因で仕様変更を余儀なくされることも多々あります。こうした状況に応じてシステムの改修は随時行っていく必要がありますが、日本事務器は本当に親身になって柔軟な対応をしていただいています。具体的には健診項目の変更から巡回健診データの取り込み、全国の健診機関に委託したデータの取り込み、細かいところでは同姓同名の識別など、この10年以上でさまざまなカスタマイズを行っていただきました。
<機能性・実用性が高い基本システム>
定期健診から人間ドックに至るまでさまざまな健診に対応している点、そして施設内から巡回健診まで幅広い健診業務をトータル的にサポートしている点を評価しています。特に巡回健診は多いときで1,000人を超えることもありますから、そうした健診データも同じCARNAS内で運用できることに重宝しています。
各検査の呼び出しは画面表示と呼び出し音のみで、名前を呼ばれることはない
<すぐに駆けつけてくれる安心感>
日本事務器は医療系のトータルソリューションサービスを手掛け、日本全国に営業所、支店、支社を構える企業ですから、我々も安心して任せることができます。何かあった際には、広島を拠点とする中四国支社からすぐに駆けつけてくれます。
エキキタではCARNAS以外の健診システムは検討されなかったのでしょうか。
検討しませんでした。前述の通り、当施設はCARNASに満足しており、これまで長年に使い続けてきました。また、データ共有の問題もあります。エキキタで健診される方々は、企業単位が多く、大元のデータは大手町健診センターにある関係上、データベースとしては大手町健診センターにまとめておく必要があります。エキキタを別の健診システムに変更すればゼロからデータ連携を構築しなければなりません。さらに、運用のなかでのトラブルが発生する頻度が高くなる可能性があり、コストも膨大になると容易に想像できます。大手町健診センターと同じCARNASを導入すればデメリットがほとんどないため、選択はCARNAS一択でした。
【HosPadの導入背景】
ペーパーレス化でエキキタをさらなる先進的な施設に
エキキタにHosPadを導入した背景をお聞かせください。
エキキタは新しいことにチャレンジする施設にしたいと思って開設しました。そして、エキキタで高い評価を受けた施策は、大手町健診センターにフィードバックするイメージを描いていました。冒頭でお話した完全予約制もそのひとつです。新型コロナウイルス感染症対策で3密を避けなければならない状況になったこともあって、エキキタの完全予約制は受診者の方々から高い評価が得られました。これを踏まえ、大手町健診センターも2022年4月から完全予約制に移行します。
また、乳がん検診の3Dエコー、尿一滴で診断可能ながん検査のN-NOSEといった世界でクローズアップされている検査を導入するなど、とにかく新しいことを積極的に行っていくのがエキキタのコンセプトです。そのために我々は、人間ドック学会をはじめとする各種学会や医療関係の展示会に参加し、常に最新の情報収集を行っています。HosPad導入もその一環ということです。
HosPadでもっとも実現したかったことは何ですか。
初めてHosPadを知ったとき感銘を受けたのは、ペーパーレス化が可能になることです。ペーパーレス化により、少なくても問診票と受診票という2枚の紙が必要になる煩雑なフローを解決したいと考えていました。特殊健診や婦人科健診を受診される方は5~6枚持つことも多々あり、受診者と職員双方に紙を管理する負担がありました。また、問診票と受診票はOCR処理を行ってデータ化するのですが、書き方が違っている、汚れているなどで読み取れないことも少なくありません。正しく読み取れる用紙かどうかもチェックが必要になるため、こうした手間も職員の負担になっていました。
そこで、HosPadを導入したいと考え、日本事務器と協議したところ、CARNASとの連携が可能とのこと。それが、エキキタでのCARNAS+HosPadという先進的な健診システムの構築につながりました。
構築からオープンまでの進捗状況をお聞かせください。
エキキタはタブレット端末HosPadを利用する関係から、無線LAN環境の構築が大きなチャレンジでした。特に安定度というのが重要で、万が一、無線LANが一時的に機能しなかったら、それだけで健診はストップ。多くの受診者にご迷惑をおかけしてしまいます。現にエキキタのビルも、さまざまな電波や隣接するテナントの無線LANに干渉を受けて止まってしまうことがありました。安定した無線LAN環境の構築は必須でしたが、インフラ構築に長けた日本事務器の技術力により、現在のところ問題なく動作しています。
【CARNAS+HosPadの導入効果】
職員および受診者から好意的な声が多数集まる
CARNAS+HosPadのシステムによる効果をお聞かせください。
新しい試みが多かったため、オープン当初は手探りでした。しかも、早々にコロナ禍になってしまい、エキキタの稼働率はなかなか100%に達しませんでした。2021年になって、ようやく軌道に乗ってきたという状況です。
そうしたなか、CARNAS+HosPadのシステムは職員および受診者から好意的な声を多数いただいており、あらためて導入して良かったと思っている次第です。高齢者の方がHosPadを使いこなせるか若干の不安がありましたが、スマートフォンの普及もあって、戸惑いはまったく見られません。具体的な効果については以下の通り。受診者側の声は、実際にアンケートを行った回答をもとに記載させていただきました。
<ペーパーレス化の推進/職員側の声>
一部の特殊健診を除き、かなりペーパーレス化を図ることができました。特に問診や一般の定期健診であれば、ほぼペーパーレスという状況です。特殊健診のペーパーレス化はCARNASをカスタマイズすれば可能ですが、対象となる職種は約50もあり、職種によっては年間30~40人ほどの受診者しかいない場合もあります。費用対効果を考えると、もう少し状況を見てから判断していくことになると思います。
<システムが効率的に誘導/職員側の声>
あらかじめシステムで各検査の待ち人数を3人までと設定しており、その待ち人数に応じてシステムが受診者を空いている検査へ効率的に誘導してくれます。その分、手間も減りますから、職員は別の業務に携わることができます。定量的効果を算出したわけでありませんが、肌感としては省人化も図れていると思います。
<ヒューマンエラーを防止できる/職員側の声>
すべてHosPadのバーコード認証で本人確認を行うため、各検査で数値の誤入力がありません。別の受診者の数値が入ることは皆無です。また、問診時に妊娠している、または妊娠の可能性があるにチェックした受診者の場合、自動的にエックス線検査は除外するなど、ヒューマンエラーがありません。ヒューマンエラーの気配りが最小限で済むため、心にゆとりができた職員は受診者と積極的に会話するようになりました。
<待ち時間を有意義に過ごせる/受診者側の声>
エンターテインメントアプリを利用し、HosPadから多数の雑誌閲覧を楽しむことができます。また、その場で過去の健診結果と比較しながら今回の健康状態を確認できることに加え、オプション検査の案内表示・申し込み機能もあるなど、待ち時間を有意義に過ごせます。
<待ち時間の短縮/職員側の声>
完全予約とも相まって、受診者の待ち時間はかなり短縮できたと思っています。直接、声を聞いたわけではありませんが、フロアに殺伐とした雰囲気がなく、いつもゆったりとした空気が流れていることで察しはつきます。受診者の表情も穏やかだと感じますね。
<プライバシーに配慮した呼び出し/受診者側の声>
各検査の呼び出しは、職員のアナウンスではなく、HosPadの画面表示と呼び出し音でお知らせがあります。自分の名前を大きな声で呼ばれることに抵抗がある方にも配慮しており安心して受診できます。
最後に今後の展開をお聞かせください。
Web問診を実現したいと考えています。現在はエキキタに来てからHosPadで問診を入力していただいていますが、もっと早く効率的に行うにはパソコンやスマートフォンで事前問診できるのがベスト。このフローならエキキタに到着後すぐに健診に入ることができます。検査の結果票もペーパーレス化を目指しています。結果票の出力と管理、受診者への郵送など、紙の場合は手間が多いため、Webで配信できるのが理想です。人間ドックの方はメールアドレス登録していただければ、別のサービスを使って結果票を配信するフローを構築していますが、このフローをCARNASで行えるようになれば、本当に便利だと思っています。
さらに、通信問題をクリアできれば、将来的にはBCP(Business Continuity Planning/事業継続計画)を考慮した健診システムのクラウド化、そして通過管理など巡回健診の可視化なども実現できればと考えています。どちらにしても、日本事務器の協力なしには推進できませんので、今後とも手厚いフォローを期待しています。引き続きよろしくお願いします。
・取材日時は2021年12月です。
・本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。