社会医療法人博愛会 菅間記念病院 様

「日本事務器の支援を受けて病院DXを進めています。地域になくてはならない医療機関として、患者様に寄り添う医療を提供するため、これからも病院DXを推進し続けていきます。」

 

電子カルテシステム「MegaOak-MI・RA・Is/PX」から「MegaOak-MI・RA・Is/AZ」へのリプレースを機に、病院DXを推進する社会医療法人 博愛会 菅間記念病院様。その背景と取り組みについて、院長 竹内 丙午 氏、経営情報管理室 兼ITC室 室長 飯田 道伸 氏に詳しく話を伺いました。

お客様プロフィール

「博愛と信頼」「地域とともに」「高度な医療」という病院理念のもと、一般急性期から療養にかけたケアミックス型の医療機関(第二次救急医療機関)として、栃木県北地域の救急医療の中核を担う。ドクターカー、CT、MRI撮影装置などを時代・地域に先駆けて導入。2015年(平成27年)に中央棟、2019年(平成31年)には新東棟を完成させ、338床(一般病床:220床、地域包括病棟:58床、療養病棟:60床)を提供している。社会医療法人 博愛会全体としては付属診療所、在宅診療所、訪問看護、デイサービス、ショートステイまでの医療サービスを展開。地域になくてはならない医療機関として「いつでも」「どこでも」「誰でも」をモットーに、患者に寄り添いながら公平で開かれた医療を日々提供している。

病院名 社会医療法人 博愛会 菅間記念病院
病院長 竹内 丙午
所在地 〒325-0046 栃木県那須塩原市大黒町2-5
病床数 332床(一般病床:220床、地域包括病棟:58床、療養病棟:60床)
診療科 内科、循環器内科・心臓血管外科、消化器科、外科、乳腺外科、神経内科、整形外科、放射線科、呼吸器科、内分泌代謝科(糖尿病)、小児科、腎臓内科、泌尿器科、ペインクリニック(麻酔)科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション、歯科/口腔外科、透析センター、女性診療科・産科

社会医療法人 博愛会 菅間記念病院様の外観

【取り組みの背景】保守切れにともないリプレースを検討

今回の取り組みの背景をお聞かせください。

2015年に導入した電子カルテシステム「MegaOak-MI・RA・Is/PX」は、2020年夏の時点で5年以上が経過し、すでに保守期間は満了となっていました。この場合、契約更新を行うか最新のシステムにリプレースするかの選択になります。大きな不具合があるわけではなく、とくに問題なく利用できていたため、病院としては契約更新という流れもありました。

しかし、契約更新を行って利用し続ける場合、システムに使われている部品が生産終了してしまうリスクがあります。壊れた部品の代替えがないばかりに、ある日突然電子カルテシステムが使えなくなる事態は避けなければなりませんから、日本事務器さんに部品ストックのお願いは必須となるでしょう。しかし、どの部品が壊れるか分かりません。部品のストックだけでは可用性の担保は不可能、しかも長く利用し続ければ経年劣化による不具合のリスクは高まります。

とはいえ、予算が限られていますから、簡単にはリプレースに踏み切れません。そんなとき、PACS(Picture Archiving and Communication System/医療用画像管理システム)のストレージにトラブルが発生。このときは容量一杯まで使い切ったことによるトラブルでしたが、病院としてはハードウェアの性能や限界値を見直す良い機会になりました。

もっとも大事なのは、地域の中核を担う医療機関として患者様にご迷惑をおかけしないこと。そして高度な先進医療を提供することです。そこを見つめ直し、電子カルテシステムのリプレースを実施することにしました。

【ベンダーの比較・検討】一般競争入札で日本事務器を選定

ベンダーの比較・検討はされたのでしょうか。

社会医療法人は原則として一般競争入札が必要となりますので、入札公告をさせていただきました。参加の意志を示していただいたベンダーは2社で、そのうちの1社は長年に渡って当院のシステム構築、保守・メンテナンスなどを担っていただいている日本事務器さんです。両社に入札仕様書をお渡しして一般競争入札を実施。その結果、日本事務器さんに選定させていただきました。選定理由は金額面が第一ですが、それ以外に以下の点も評価しました。

<コロナ禍でもエンジニアのアサインが可能>

当時はコロナ禍真っ只中で、どのベンダーもエンジニアのアサインが難しい状況でした。しかし、日本事務器さんは技術力と知識に富んだエンジニアのアサインが可能とのこと。安心してお任せできると思いました。

<システムを隅々まで把握>

前々回、前回のリプレースも日本事務器さんが担当し、これまで設計や構築に関わった方々も参加できるとのこと。システム全体をしっかり理解されていますから、当院としては非常に安心感がありました。

【具体的な取り組み】プロジェクトの柱は病院DX

今回のリプレースは、単なる電子カルテシステムのリプレースではないと伺っています。

我々が取り組まなければならないのは、限られたリソースを有効活用し、地域住民の皆様により良い医療を提供できる仕組みを構築する病院DXです。病院DXを推進することで、院内のさまざまなところの効率化を図ることができれば、医療に従事するスタッフの働き方改革につなげることも可能です。そのためには、電子カルテシステムのリプレースだけでは不十分。病院DXを掲げたプロジェクトとして進めていくことにしました。

今回の病院DXで具体的に実現したことを教えてください。

多岐に渡るため、すべて羅列することはできませんが、以下に一部をご紹介させていただきます。

<部門システムとの連携>

電子カルテシステム「MegaOak-MI・RA・Is/AZ」に加え、リハビリや介護などの部門システムもすべてリプレースしました。これにより、「MegaOak-MI・RA・Is/AZ」を中心に各部門が連携するシステムを構築することができました。

<全サーバーの仮想化とクラスタ構成化>

患者様を守る継続な医療提供のため、全サーバーの仮想化とクラスタ構成化を実現しました。これにより、例えば、電子カルテシステムのサーバーにトラブルが発生した場合、以前は復旧するまで時間を要していましたが、クラスタ構成であれば障害のインパクトを最小限に留めることが可能。障害復旧の作業中でも電子カルテシステムは稼働し続けます。

<よりセキュアなバックアップの仕組みを構築>

近年、医療機関に向けたランサムウェアの被害が多発しており、当院としてもセキュリティ対策は重要な課題でした。そこで今回は、バックアップデータを担保できる一方通行の仕組みを構築しました。

<ストレージをHDDからSSDに>

ストレージに関しては、軽量で振動に強く、駆動装置を持たない低消費電力のSSDにリプレースしました。これにより、よりデータを安全に保管することが可能です。

<受付業務のキャッシュレス化>

コロナ禍ということもあり、非接触型のフロント業務を構築したいと考え、キャッシュレス決済が可能なシステムを導入しました。

<文書作成支援システムとの連携>

当院は患者様のサマリーを重要視し、今回は「MegaOak-MI・RA・Is/AZ」に文書作成支援システムをアドオン。「MegaOak-MI・RA・Is/AZ」と連携することで、今まで以上に診療文書の作成・管理のワークフローを効率化することができました。

<既読管理システムの構築>

「MegaOak-MI・RA・Is/AZ」に前述した文書作成支援システム、そして読影・検査結果等と連携させた、既読管理システムを構築しました。

<診察待ち状況表示システムの構築>

既存の電子メールで診察順番をお知らせする機能を「LINE」通知も出来る様に新たな連携システムを構築しました。

<地域連携システムの構築>

地域のクリニック、診療所様と、当院の「MegaOak-MI・RA・Is/AZ」をリアルタイムで画像検査予約ができる地域連携システムを構築しました。

病院DXにおける今後の展開をお聞かせください。

連携という点では、まだまだ満足するレベルには届いていません。さらに、もう一段階うえのセキュリティ対策にも取り組む必要があると考えています。ひとまず病院DXの序章が終わったところではありますが、これからも手綱を緩めず、次のフェーズに着手していきたいですね。

【今後の展開】病院DXには日本事務器の支援が必要

日本事務器に対し、今後の期待をお聞かせください。

長い期間、日本事務器さんと一緒に過ごしてきた時間のなかで人とのつながりを得ることができました。我々の多少の我儘を許容してもらえているこの関係性に感謝しています。実際、今回はリプレースの枠を超えた病院DXのプロジェクトでしたが、日本事務器さん自身が行うシステム構築に加え、他のベンダーとの調整や進捗管理なども行っていただいたおかげで、プロジェクト全体をスムーズに進めることができました。これからも、更なる病院DX推進のご支援ご協力をよろしくお願いします。

経営情報管理室 室長 飯田 道伸 氏

院長 竹内 丙午 氏より

紙カルテの時代と比べ、電子カルテシステム導入後は患者様の医療を提供できる数が圧倒的に増えました。「博愛と信頼」「地域とともに」「高度な医療」を理念に掲げる当院としては非常に有り難い限りです。そして現在は、その理念をさらに推進すべく、飯田室長を中心に病院DXに取り組んでいる次第です。

病院DXに求めるのは、医療の高度化を支えるシステムの進化に比例したスピードです。便利な機能が多数搭載されるのは良いことですが、スピードがトレードオフになっては意味がありません。もちろん、日本事務器さんがシステム構築に苦心されたのは分かっていますから、「あえて言えば」というところではあります。実際、実務レベルで問題なく稼働しています。

日本事務器さんに対しては、対応力を高く評価しています。常に早く、常に真剣に対応してくれる姿勢は本当に素晴らしいと感じています。私だけでなく、院内のさまざまな部門からもそうした声が聞こえてきますから、間違いないと思います。これからも当院の病院DXに対して手厚い支援を期待しています。

院長 竹内 丙午 氏

※ 取材日時:2023年6月
※ 本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。


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