医療法人至誠会 帆秋病院 様
医療法人至誠会帆秋病院 様(以下 帆秋病院 様)では、精神科病院向け電子カルテシステム「Live」を導入。業務の効率化と、患者サービスの向上を実現している。導入の経緯と効果について、詳しく聞きました。
お客様プロフィール
「誠実・信愛・奉仕」を理念として、医師をはじめ看護師、薬剤師、作業療法士、臨床心理士、栄養士などの職員が情熱を持ってチーム医療に取り組んでいる。新病院の開院にあたり併設施設として、メモリアルホール(体育館)、グループホーム誠心寮、院内保育園のさくらんぼ保育園を新築。医療施設としては、認知症診断確定補助のための3テスラMRI、16列マルチヘリカルCT、高機能の脳波計、うつ病治療の高照度光療法室、不安神経症治療目的の森田療法室などを整えるとともに、デイケア室、作業療法室、理学療法室も完備している。病床数:446床。
2015年4月1日に開院した新病棟の様子(写真提供:帆秋病院 様)
新築移転を機に電子カルテを導入
帆秋病院におけるLiveの導入状況について教えてください。
病院の設備なども老朽化しており、新築移転するタイミングで新規に電子カルテを導入しました。「移転のタイミング」というのはいいタイミングだと思います。大学病院で利用していたということもあって、電子カルテの便利さは知っていました。
精神科は書類関係が多く、紙だと毎回手書きをしなければなりませんし、患者さんが多くなった時に探すのが手間になります。そういうのを考えると電子カルテがいいと思っていました。
電子カルテの良さは、スタッフ間で情報共有ができることです。みんながそれぞれ「違う場所」でカルテを「同時に入力・参照」できるので、患者の状態をそれぞれが確認できます。
医療法人至誠会帆秋病院
副院長 帆秋 伸彦 氏
紙カルテの時は、患者の状態が悪くなったというと、まずカルテを探しに行かなければなりませんでした。今は近くにあるパソコンでカルテを見ながら診察できます。
外来で患者を診察していて、入院患者の状態を見たいという時に、わざわざカルテを探しに看護師さんが、走って、行ったり来たりしている姿を見ていましたので、「これは無駄な動作だな」と思っていました。
患者照会があった時は、紙カルテを探してくるまでに時間がかかっていました。それが電子カルテになると、そこに情報が載っていて、ちょっと前の記載を見てこういう状態だったというのをすぐに返事ができます。
また電子カルテシステムとは別に診断書作成システムというのがありますが、別々だと使い勝手が悪いですよね。
書類というのは数年に一回、更新しなければなりませんし、書式も変わって来ます。電子カルテで一括管理していると、自分たちでちょっと変えたりすることもできるので、そういう面でもとてもいいと思います。
Liveの使い勝手はいかがでしょうか。
Liveに初めて触れたのは学会の展示ブースです。何社か見ていて、非常に使いやすいなという印象を持ちました。精神科の病院に関しては精神科に特化したLiveが使いやすいと思います。
Liveはカルテを開いた時に紙カルテのようなイメージで見られますし、その時に不必要な情報は折りたたんでおけるので扱いやすいです。
病院には高齢のスタッフもおり、90歳のドクターがLiveを利用しています。その人がちゃんと使えているというのがすごいことですし、70代の看護師さんもLiveを使っています。
Liveを導入して、具体的にはどのような成果が上がっていますでしょうか。
患者の出入りがかなり速くなり、平均在院日数が旧病院時代の約半分になりました。平均在院日数が短縮できたというのが大きな成果です。
入院の受け入れもしやすいし、ベッドの空き状況を把握するには、MAPを見ればどこに空床があるのか、というのが視覚的に瞬時に捉えられるので、ベッドコントロールしやすくなったというのもあります。だから空床を減らせるんですね。
病床稼働率自体も今99%なので、高回転で稼働している病院に変わってきました。
今後の展開予定などがあれば教えてください。
具体的には決まっていませんが、タブレットの活用や訪問看護での活用、地域連携への発展、向上などに活用していきたいと考えています。
日本事務器への評価と期待があればお聞かせください。
パッケージだからということで、それはできません、あれはできません、ということではなく、個別に対応してくれます。定期的にフォローしてくれて、修正など必要があれば変えてくれるという「フレキシビリティ」に日本事務器の魅力を感じます。
今後も、定期的に情報を共有する機会を設けてもらい、さらに、良いシステム、使いやすい電子カルテにしていきたいと考えています。より丁寧なサポートや迅速な対応を期待しています。
電子カルテ選定は一大イベント
導入する電子カルテを選定した時の経緯を教えてください。
選定に関しては、職員の意見を取り入れるため、常勤の職員ほぼ全員に製品の説明会に参加してもらい、実際に操作も体験してもらった上で、100名以上の職員からアンケートを採りました。
検討の結果、最も良いだろうということになり、Liveを選びました。
導入準備にどれくらいの時間を費やされましたか。
導入期間に半年かかりましたが、半年というのは短かったです。
導入しながら業務改善もしていこう、電子カルテの運用に合わせていこう、と試行錯誤しながら進めていきました。電子カルテというものが初めてでどういうものかもわからなかったので、出来上がったものに合わせますよという感じはありました。
医療法人至誠会帆秋病院
事務局次長 渡辺 義幸 氏
リアルタイムで情報共有 仕事のやり方が変わりました
看護部における導入効果を教えてください。
毎朝、全部署参加の「入退院ミーティング」を実施しています。Liveの画面をプロジェクタで投影して全員で電子カルテを見ながら情報を共有できるので、わかりやすく、効率的にミーティングができるようになりました。
紙カルテですと、字のうまい人・下手な人・癖字のある人などいろいろありまして、読みにくい部分もありましたが、電子カルテになったら読みやすくてわかりやすいです。
外来診察の状況や新患が、どういう患者さんが来ていて、どういう名前で、どういう疾患かというのが、リアルタイムで手に取るようにわかるようになりました。最終受診日や既往歴などもすぐに出ますので、欲しい情報がすぐ手に入りやすいです。
医療法人至誠会帆秋病院
看護部長 河村 京子 氏
病棟日誌の作成は、時間になったらみんなで記入し、それが申し送りに反映されるのでとても助かっております。
例えば、急変した患者さんでハリーコールというのがあります。その患者さんが今どんな状態なのかというのを机の上でクリックするだけで、リアルタイムに見られる、理解できる、どういう処置をしたのかというのがいち早くわかるんですね。
前の紙カルテだと、そのカルテを先生が持ってうろうろして、看護師は記録を書けないということがありましたが、今はもうそれがありません。
平均在院日数が減ったというのは、「入院日数何日」とちゃんと明記されるんです。
それによって、先生がその人の症状を確認しながら、転棟・退院というようにもっていくことが計画的にできます。症状の変化もすぐ見られますし、先生も社会復帰を促進していますので、みんなが患者さんを把握しやすくなった、ということがあると思います。
Liveの導入に際して、準備したことなどがあれば教えてください。
導入時、部門ごとに話し合いをしました。各病棟の師長、副師長クラスが集まり、看護記録作成用の「記事テンプレート」を作成しました。パソコンが苦手な看護師さんもテンプレートを使用することで、そこをクリックするだけで一つの流れの文章になるということを知り、今はそれを活用しております。
実際私もパソコンが苦手ですが、何回も操作指導を受けまして、操作マニュアルを見ながら操作を覚えまして、今ではどうにか使えるようになりました。
患者サービスの向上、待ち時間削減
薬剤部における導入効果を教えてください。
診療予約が画面に出ているので業務の予定が立てやすいというのがあります。
疑義照会は今まで、診療している先生の診療の合間をぬってお聞きしていましたが、いつでもLiveの画面を見て確認することができます。
また、服薬指導も電子カルテが病棟にもありますし、薬剤部にもありますので、タイムリーで確認することができます。
過去の診療歴も、病棟まで行ってカルテを見る必要はなく、画面でその場で確認することができるというのはメリットだと思っております。
クロルプロマジン換算は、今まで薬剤部が計算をしてきましたが、薬剤部が発信してもなかなか先生に伝わらないことがありました。Liveは自動計算された数値が画面に出ているんですね。
医療法人至誠会帆秋病院
薬剤部長 亀井 公恵 氏
画面に出ることによって、「今減量に取り組んでいる。クロルプロマジン換算値は今これくらいなんだ」と先生のほうから言ってくるようになりました。患者さんのカルテを見ていますと、「減量をどうしますか?」と取り組んでいる様子がタイムリーに見られます。減量にも一役かっているように思います。
栄養部における導入効果を教えてください。
食数一覧など、入退院から転棟、食止めなどがリアルタイムで、先まで見られるようになりました。明日なら今日の夜までに確認すればわかりますし、早めに先の食数まで把握できますので便利になりました。
紙カルテのフローシートは、体温表と食事量が一緒で見にくい部分もありましたが、電子カルテをクリックするだけでフローシートに変わり、食事摂取量が見られるようになりました。
外出や外泊といった指示が急に出た時も、栄養部に情報がリアルタイムで来ますので、連絡がスムーズになりました。
医療法人至誠会帆秋病院
栄養部長 髙橋 久子 氏
事務局における導入効果を教えてください。
患者さんに対してのサービス、特に「待ち時間」というのがかなり軽減できていると感じます。そこはすごいサービスにつながっていると思います。
患者さんの回転率が早いです。入退院も外来も含めて、患者さんへの「待つ」という負担の軽減、というのがかなりあります。
旧病院に比べてもはるかに短くなりました。診察中にオーダを飛ばせば、診察が終わったらもう薬ができているというようになりました。常にリアルタイムで情報共有ができているから、できるところだと思います。
旧病院ですと、予約診療ではなく、早く来ないと順番が取れないということがありました。今は、先生が今日診察したら次回の診察の予約を取るので、予約をしているから早く来なくてもいいというようになりました。診察の15分前、10分前になると自然に待合室が混み合って来るので、今日多かったんだね、というようになりました。
医療法人至誠会帆秋病院
事務部長 平早水 善清 氏
効果という部分では、「ペーパーレス」です。カルテの保管場所を取らなくていいということが、かなり大きいです。
開院してからかなりの年数が経っており、紙カルテで残っていたものは、重たいし場所を取っていました。これが今なくて済むのが一番の効果です。
医療法人至誠会 帆秋病院 様
病院名 | 医療法人至誠会 帆秋病院 |
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代表者 | 理事長・院長 帆秋 孝幸 |
所在地 | 大分県大分市大字大分4772番地2 |
開設 | 1948年9月20日 |
病床数 | 446床 |
診療科 | 精神科、心療内科、内科、歯科 |
URL | http://www.hoaki.jp/ |
※ 取材日時 2015年12月
※ 本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。