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2019年産学連携プロジェクト
図書館へ行こう!オリジナル読書手帳

2020.05.15

 十文字学園女子大学の文芸文化学科・石川敬史研究室と毎年実施している産学連携プロジェクト。2019年度は「オリジナル読書手帳」を制作しました。
 企画・監修を同大学の石川研究室(3年生4名)が、デザイン・編集作業をcoffca(コフカ)株式会社様が、監修・発行元としてNJCがそれぞれ担当し、3者合同で「オリジナル読書手帳」を制作しました。
 この読書手帳は、 第21回図書館総合展(2019年11月12日〜14日パシフィコ横浜) のNJCブースで発表したほか、 令和元年第2回埼玉県子供読書活動推進会議(11月26日十文字学園女子大学) においても「産学連携による読書手帳づくり」 と題して発表されました。
 

製作の経緯

 「どのようにしたら、大学生はもっと本を読むようになるのか」という問いから2019年度の活動がスタートしました。2019年2月に発表された全国大学生協連合会の第54回学生生活実態調査によると、大学生の約半数が月に1冊も本を読まないとされています。そもそも本を読まない要因は何か、どうしたら読書を楽しめるのか、ということを一緒に考えていく中で、読書履歴の活用に焦点が置かれるようになりました。
 これは当時「読書通帳」がニュースで取り上げられ、話題になっていた影響があります。図書館に設置された専用端末に通帳型の冊子を通すことで、自分が読んだ本のタイトルや貸出日などを記録し、一覧として可視化できる読書通帳は大変魅力的です。しかし設備があるのはほぼ公共図書館のみで、また多くは児童向けのサービスと紹介されていました。そこから意見が発展していき、「自分が読んだ本を簡単に記録、手元に保管しておけることは読書の達成感につながる」「通帳だとその時の気持ちや感想が書き込めない。あえて手書きの方が目的に合っているのでは」「大学生も使えるような、大人向けの読書手帳はないのだろうか」と発展していき、市場調査を開始することになりました。

 2019年5月、各ゼミ生がそれぞれ世の中にある読書通帳・読書手帳を調査し、その結果を共有し合いました。少し調べただけでも一般に販売されているもの、図書館で配布しているもの。形態も冊子体から付箋メモ、図書館などのホームページに掲載しているデータを印刷して使うものなど、様々なタイプの手帳・通帳がありました。これらの精査に加え、実際に「よみきかせ手帳」(読んだ絵本を記録しておく保護者向けの手帳)などを配布している埼玉県和光市図書館に訪問し、担当の方にもお話を伺ってきてくれました。

ゼミ生の発表の様子

 その結果、公共図書館で配布している手帳、通帳は多くが児童向けであることを改めて確認できました。また、販売しているものはキャラクターなどデザインがかわいらしいものが多いこと、冊数ごとに達成ページやスタンプを押す欄などが設けられ、記入意欲の上がる工夫が見られること…などという結論が得られ、「大学生向けの製品がないならば作ってみよう!」と今回のオリジナル読書手帳の制作が決定。第21回図書館総合展での発表を目指し、夏休み前まで、先行研究の内容を振り返り、どのようなページや項目があったらよいか、素材やデザインはどのようなものがいいか要件のまとめにとりかかりました。そして実際にデザイン制作を担当してくださったCoffca株式会社様、NJCとの3者で実現に向けて検討し、無事に「オリジナル読書手帳」が完成したのでした。

 この読書手帳を最初にお披露目したのが2019年11月1日、NJC本社で行われた「オリジナル読書手帳」発表会です。集まった約25名を前に、石川先生、ゼミ生、Coffca社、NJCらがそれぞれ発表しました。NJC社員に囲まれて最初は緊張していた様子の学生達でしたが、実際に現物を見るとパッと笑顔になり歓声が上がっていました。

 手帳のカラーは全部で4色。それぞれの学生が選んだ動物が表紙に覗いているかわいらしいデザインです。中身にも10冊ごとにゆる格言が書かれた達成ページや、お気に入りの本屋や図書館にPOPとして使ってもらうための切り離して使う用のカードページを用意するなど、アイディアが満載の1冊となりました。
 中でも最もこだわったのは書名、著者、出版社といった書誌情報の部分です。NJCの図書館情報システム「ネオシリウス」シリーズとも連携しており、レシートプリンターから本の書誌情報をラベルシールとして印刷ができます。書名や著者名をわざわざ手で書かなくても、シールを貼るだけで済むという手軽さにこだわりました。図書館のOPAC端末横にレシートプリンターを置けば、実際に図書館に足を運ぶきっかけにもなるということで、図書館総合展では高評価をいただいたポイントとなりました。

NJC本社でのお披露目

 そして迎えた第21回図書館総合展。ゼミ生達もNJCブースに立ってもらい、実際に図書館関係者の反応をリサーチしました。NJCで開発中のスマートフォンアプリ「BOOK MARRY(ブックマリー)」も同時に展示したところ、我々の予想を超える反響がありました。この展示会に来る方で読書が嫌いという方はほぼいらっしゃらないだろうと思ってはおりましたが、アンケートに答えてくださった全ての方が読書の記録を残すこと、またそれがいい方向に活用できると大変肯定的だったことが印象に残っています。
※アンケート内容や図書館総合展の詳細については、当HPの出展報告記事も合わせてご覧ください。

第21回図書館総合展での展示の様子

 毎日先着30名様限定で、この読書手帳をプレゼントするキャンペーンを実施していましたが、読書手帳を目当てにNJCブースに来てくださった方もおられ、午前中で無くなってしまいました。配布終了後も購入希望のお問い合わせを多くいただくほど、大好評で終えることができました。

 私たちNJCには元々、日ごろからお仕事をいただいている「図書館」というコミュニティに対して、何らかの貢献がしたいという強い思いがあります。図書館やその皆さんがやりたいことを実現するために、一緒にお手伝いができたら、という理念のもと活動を続けてきました。
 今回の産学連携もそうした活動の一つでありますが、学生の学習や読書に対するリアルな状況や、それに対する考えに触れることができたことは、NJCとしても大きな収穫となったと考えております。また、このオリジナル読書手帳をきっかけに、今まであまりお話する機会のなかった小中学校の学校司書、公共図書館スタッフの方々から多くの知見をいただくことができ、とても得難い経験となりました。今後とも図書館業界への貢献を目指し、引き続き励んで参ります。

※本活動は十文字学園女子大学様でも取り上げていただきました。ぜひこちらもご覧ください。
https://www.jumonji-u.ac.jp/news/20191213_01/

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