NJCブックトラックについて、国立音楽大学附属図書館様にお話を伺いました。
■大学プロフィール
◆国立音楽大学
所在地:〒190-8520 東京都立川市柏町5-5-1
設立:1950年
学部:音楽学部(演奏・創作学科/音楽文化教育学科)
在籍者数:1,495名(2018年5月1日現在)
(※数値は国立音楽大学「データ集、学生数」より抜粋)
◆国立音楽大学附属図書館
蔵書冊数:約30万冊(うち楽譜14万点、AV資料9万点)
延べ床面積:4,221平方メートル
奉仕対象数:2,236名
(※数値は『日本の図書館 統計と名簿2017』(日本図書館協会刊行)より抜粋)
1926年(大正15年)創立の「東京高等音楽学院」をルーツとし、1950年(昭和25年)に新制大学として発足した音楽大学。
基本的理念は「自由、自主、自律の精神を以て良識ある音楽家、教育家を育成し、日本及び世界の文化の発展に寄与する。」として、
幼稚園から大学院博士後期課程まで一貫した教育体制を提供している。
(公式サイト「大学の基本的理念」より抜粋)
図書館HP:https://www.lib.kunitachi.ac.jp/
大学HP:https://www.kunitachi.ac.jp/
■インタビュー概要
NJCは「ネオシリウス/ネオシリウス・クラウド」をご導入いただいたお客様に感謝の気持ちを込め、十文字学園女子大学様、キハラ株式会社様、当社で共同製作を行いました「NJCオリジナルブックトラック」を、2015年より贈呈しております。(「NJCオリジナルブックトラック」の制作過程はこちらの特設ページをご覧ください)
今回は、国立音楽大学附属図書館の広報担当である宇田川様に「ネオシリウス・クラウド」及び「NJCオリジナルブックトラック」についてお話を伺いました。
● ではまず、国立音楽大学附属図書館様の特徴を教えてください。
ー最大の特徴としては、閉架式を採用しているところです。2016年のリニューアルの際に開架コーナーも増えましたが、基本的に資料は閉架書庫で保管されています。これは蔵書数約40万冊のうち、楽譜は14万点、AV資料が9万点と、音楽資料が多くを占めているためです。
例えば楽譜が開架式で並んでいたとしても、図書と違って背表紙が非常に薄いため、ブラウジングで選べるような状態ではありません。汚破損もしやすくなりますし、複数人で演奏するような曲はパート譜(楽器毎の楽譜)がバラバラになってしまうなど、紛失のリスクも増えます。そのため、利用者は検索と出庫請求までを行い、それを受けてスタッフが書庫からピックアップする閉架式が適しています。
あと、書庫内の資料は日本十進分類法(NDC)などの分類で並べるのではなく、受入順で並べているのも特徴のひとつですね。
● そうなんですね。確かにNDCなどでは、音楽関係のコレクションが全てほぼ同じ番号ばかりになってしまいますね。
ーはい。管理や検索のため、NDCの代わりに演奏手段などによる独自分類も付けておりますが、原則受け入れた順番に並んでいます。そのように、もともとテーマ毎に本や資料を並べるという習慣がないからこそ、様々なテーマで特集・展示することは学生のみならず、私たち職員にとっても良い効果がありますね。展示のために資料を探すと、今まで気が付かなかったことに目が行くので、蔵書を見直す機会にもなっています。
館内の展示は「普段書庫にあって見えない資料を知ってもらおう」という目的が一番大きいですね。リニューアルで開架スペースが増えたのですが、そうすると開架にあるものが全てだと思ってしまう利用者もいます。そうじゃないよ、これだけ色々な資料を持っているんだよ、ということを学生にもっと知ってもらうために、様々な切り口で資料を表に出せる特集・展示をとても大切にしています。
例えば音楽番組の「題名のない音楽会」と、「ららら クラシック」。それら2番組で取り上げられたものを週替わりで展示するようにしています。これだとテーマも毎週決まりますし、番組を観ている学生には親しみを持って受け入れてもらえます。どちらの番組もクラシックだけではなく、その時話題になっている音楽やアーティスト、映画・ゲーム音楽など、幅広いジャンルの音楽を扱っているので、当館が所蔵している関連資料を展示すると「こんなものもあるの?」と驚かれることもありますね。
● それだけ毎回違うテーマの資料を、自館資料のみで揃えられると言うのはすごいお話ですね。週替わりとなると、更新も大変なのではないでしょうか?
ー大抵の場合、当館所蔵の資料だけで揃えることができます。そこに気が付いていただけて嬉しいです!
図書館はキャンパスの最奥にあるので、ただでさえ練習で忙しい学生にとっては来づらいだろうなと思います。それでも来てくれている人のために、毎週、更新するように頑張っているところです。また、今まで特集で扱った資料は紙でリスト化していたのですが、ネオシリウスになってからはOPACのトップページでリストを公開できるようになり、すごく嬉しいですね。館外にいる人にも特集を見てもらえるので、図書館に来るきっかけ作りができたように思います。
● ありがとうございます!先日お贈りしたNJCブックトラックですが、使い勝手はいかがですか?
ー資料を載せて連れて歩く形で使っています。資料が重くてもスムーズに動くので、展示で置きっぱなしが逆にもったいなくて…。
ガイダンスの時に配布するオリジナルクリアファイルや資料を置いたり、説明時のマイクをちょっと置いたり。今朝の打ち合わせの時にもコロコロと転がしてきました。また、学内で中高生向けにオーケストラワークショップなどのイベントを開催しているのですが、そこで演奏される曲の楽譜や関連する資料などをブックトラックに載せて会場で展示する「出張展示」でも活躍してもらっています。
イベントの無い時は、業務でも活用してもらっていますよ。実はCDを運ぶのにぴったりなサイズなんです!CDを置いても十分な奥行きがあるので、他に業務で使う物も一緒に置いて移動できます。小回りが利くところが他のブックトラックと違いますね。特に書庫は通路が狭いですし、とても重宝しています。
また、本学は幼児音楽教育専攻がある関係で絵本の所蔵も多いのですが、一般書とは違ってかなりサイズにばらつきがあります。そうした変形サイズにも対応できて良いですね。
● 展示やガイダンスなど様々なお話を伺いました。もし、広報ご担当としてその他にも取り組んでいらっしゃることがあれば、教えていただけますか。
ー週替わり展示などの他には、本年度「ライブラリー・ステージ」という学生との連携企画を立ち上げました。演奏という形にとらわれずに、学生が自分の学修・研究の成果を発表する場所を提供したいという思いから始まった企画です。その中で学生とのやり取りや準備なども担当しております。ちょうど今日学生との打ち合わせがあったのですが、「ゲーム機を分解して、音が鳴る部分を見せたい!」と言われ、その発想力に驚いてしまいました。
先生との連携企画である「ライブラリー・レクチャー」では、図書館が所蔵する貴重資料について講義をしながら、館内のグランドピアノを使ってその内容に沿った演奏が行われるといったこともあるんですよ。
当館には音楽図書館として国内トップクラスの豊富なコレクションがあるので、それらを学生や先生方に最大限に活用してもらえるよう日々働いています。
実は、今回のインタビュアーは2人ともブラスバンド部出身で音楽が大好き。ついつい食い気味の取材になってしまったにもかかわらず、宇田川様は常に笑顔で、ひとつひとつ丁寧に応じてくださいました。
おかげさまで、近年「ネオシリウス」は国立音楽大学様のような音楽大学様や、美術館・博物館様といった専門的な蔵書や管理が必要なユーザー様が増えてまいりました。学術的な視野からいただけるご意見を活かし、日々システムの改善に繋げていきたいと思います。
大変興味深いお話をしてくださった宇田川様、またお忙しい時期に温かく迎えてくださいました国立音楽大学の皆様、本当にありがとうございました。
※ 取材日程 2018年10月19日
※ 本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。
図書館紹介の記事 図書館紹介の記事一覧
日本の図書館コミュニティを、私たちと一緒に盛り上げませんか。
NJCの日々の活動や事例へのご質問、「ネオシリウス」「BOOK MARRY」についてのお問い合わせはこちら。