伊賀越株式会社 様
創業明治6年。130余年にわたり天然醸造による醤油や味噌をはじめ、伊賀越漬などの山菜漬物や佃煮の製造、販売を手がけている伊賀越株式会社(以下、伊賀越)様。『天然醸造の価値』を基本理念に、『お客様に安全で安心・満足して頂ける製品造り』を推進しています。
一方、これらの製造事業に加え、食品メーカーや酒類メーカーの特約店として、三重県内および近隣各県のスーパーマーケットや食品店、酒屋などへ卸売事業も手がけており、取引先は約1,600社、取り扱いアイテム数は月間10万点にも上るといいます。
写真提供:伊賀越株式会社様
伊賀越様では、2008年に販売管理システムとして「CORE Plus qbic Food」の利用を開始。その後、入出荷検品システム「CORE Plus qbic epick」を導入することで、伝票起票などの事務所作業や倉庫における入出荷業務を効率化するとともに、在庫精度の向上と出荷ミスの低減化を実現しています。システム導入の経緯と効果について詳しく話を伺いました。
※「CORE Plus qbic Food」は現在、「CORE Plus NEO 食品」として提供しています。
※「CORE Plus qbic ePick」は現在、「CORE Plus NEO 入出荷検品」として提供しています。
業務課題とシステム化検討
販売管理システムを導入した経緯について教えてください。
当社では「CORE Plus qbic Food」を導入する以前から10年来、自社開発の販売管理システムを利用してきました。しかし、表計算ソフトなどを利用した手作業が数多く発生しており、現在の状況と比較すればシステム化されているといえるような環境ではありませんでした。
また、取引先数や取り扱いアイテム数が増えるにつれて、取引先や営業担当からさまざまな種類の販売データの提供を求められるようになってきました。そのような要望に対して正確かつ迅速に対応することは難しく、それまでのやり方では手に負えなくなってしまうことは明らかでした。
そのため、2008年の酒類卸売会社との吸収合併を機にシステムの老朽化対策も踏まえ、販売管理業務の強化と効率化を実現するため販売管理システムを刷新することにしました。
「販売管理システムを刷新する前は、販売データをリアルタイムで、確認・分析・出力することができませんでした」
(販売事業部 業務部 部長 本城氏)
次に、入出荷検品システムを導入した経緯について教えてください。
販売管理システムの刷新による成果はとても大きなものがありました。一方、当時、倉庫の入出荷業務はほとんどシステム化がなされておらず手作業で行っていましたので、リアルタイムで正確な在庫情報を確認することができませんでした。そのため、出荷時にミスが発生したり、あるべきはずの在庫がなかったりすることも少なくありませんでした。
そのような状況を改善し、正確かつ迅速で、効率的な入出荷体制を実現したいという要望を日本事務器に伝え、販売管理システムと連携した入出荷検品システムを提案してもらい、導入を決定しました。
システムを選定した際の要件を教えてください。
当社としては、今回のように本格的かつ大掛かりなシステムの導入は初めての経験でした。そのため、システム的な機能や要件だけでなく、導入・運営をサポートしてもらうベンダーの選定も重要だと考えました。要件の詳細は次のとおりです。
(1) 食品卸売業に必要な機能を標準で網羅したパッケージソフトの活用
自前でシステムを開発するとなれば、導入時だけでなく運用時にも時間と手間とコストがかかることは、これまでの経験から理解していました。そのため、食品卸売業に必要な機能を標準で網羅しているパッケージソフトを活用することで、導入コストを抑え、短期間に新しいシステムを導入したいと考えました。
(2) ビジネスパートナーとして長くつきあえるベンダーの採用
導入後、うまくいかなかったらすぐにシステムやベンダーを取り替えるという訳にはいきません。一度決めれば、厳しい要望や対応をお願いしなければならない場面も出てきます。サポートも含め、ビジネスパートナーとして末永くお付き合いのできるベンダーかどうかという点は、システムの機能と同様に重要な選定ポイントでした。
「システム的な機能や要件だけでなく、導入・運営をサポートしてもらうベンダーも重要だと考えました」
(販売事業部 業務部 係長 峠氏)
(3) 機能面の要望への対応
システムの機能面では、次の3つのポイントを重視しました。
- 販売管理データを見える化できること
- 重複作業や紙を使った作業をできるだけ排除すること
- 拡張性に優れたシステムであること
システム選定の経緯
日本事務器に提案を依頼した経緯を教えてください。
これまで日本事務器とは取り引きはなかったのですが、「CORE Plus qbic Food」のパンフレットを見たとき当社の業務に合っているシステムだと直感し、提案を依頼することにしました。
日本事務器からの提案を採用した理由を教えてください。
導入するシステムを検討するにあたり、国内ベンダーやグローバルにビジネスを展開するベンダーなど計5社に提案を依頼しました。
会社の規模だけで見れば日本事務器がもっとも小さいベンダーでしたが、相談がしやすく、もっとも熱心に対応してくれました。長く付き合いを続けるのには、人と人のつながりがとても大切です。提案時の対応を見て、日本事務器なら安心してシステムのカスタマイズや運用、拡張をお願いできると判断しました。
また「CORE Plus qbic Food」に関しても、食品製造・卸売業向けの業務に特化したパッケージソフトで、機能面はもちろん、拡張性やコストパフォーマンスという点でも、当社が求めていたイメージに一番近い製品でした。
システムの導入効果
「CORE Plus qbic Food」および「CORE Plus qbic epick」を導入した効果について教えてください
入出庫管理や伝票起票などの作業が大幅に改善し、在庫精度が向上すると同時に誤出荷もほぼゼロになりました。各業務における主な導入効果は、次のとおりです。
導入前 | 導入後 | |
---|---|---|
入荷作業 | トラックからの積み出し作業後、仕入伝票を入力するまでに時間のロスがあるため、当日入荷・当日出荷の際に、在庫確認が必要であった。 | バーコードリーダーで作業実績データを一括で取り込むことができるようになったため、発注データを活かした仕入処理ができるようになり、仕入入力が不要になった。 |
出荷作業 | 前日までの在庫データしか把握できず、精緻な出荷指示ができなかった。 | リアルタイムで在庫情報を確認できるようになり、正確な出荷指示が可能になり、スピーディかつ柔軟な納品体制を確立できた。 |
誤出荷が発生していた。 | 誤出荷がほぼゼロになった。 | |
メーカー直送時に伝票の二重登録が必要だった。 | メーカー直送品の管理を一本化できた。 | |
棚卸作業 | 全アイテム約3000品目のうち、100品目ほどの棚卸差異が発生していた。 | 棚卸差異アイテム数が20品目以下になった。限りなくゼロに近づける目処がついた。 |
管理業務 | 取引先や営業担当から求められる販売データをスムースに提供できなかった。 | 販売実績をリアルタイムに出力できるようになり、商品、取引先、担当者、期間など、さまざまな角度から分析できるようになり、必要な販売データを迅速に提供できるようになった。 |
在庫の差異や受発注のミスが発生しても、原因を追及することができなかった。 | 在庫の差異や受発注のミスが発生したとき、その原因や要因をトレースできるようになった。 |
実際にシステムを利用する現場の反応はいかがですか。
正直なところシステムの導入時には、業務の流れが変わったことに対する拒否反応もありました。また、バーコードリーダーの取り扱いに不安を抱いた作業員もいたようです。
しかし、新しいシステムに慣れるに従って、作業負荷が軽くなったり、不正確な情報に振り回されたりすることがなくなり、意識の変化も見られるようになってきました。何より、正確な情報に基づいて作業ができるので、自信を持って受発注や在庫確認などの作業をできるようになったことが大きいと思います。
今後の展開と日本事務器への期待
システムの拡張予定などがあれば教えてください。
販売管理システムに関しては、さらに導入効果を高めるため、社外からも在庫の確認や受注処理などができる環境を実現できればと考えています。
また全体的なシステム化という点では、販売管理システムと入出荷検品システムの導入により問屋業務の効率化と見える化は実現できました。次は製造管理システムを導入することで自社製品に関する製販一体体制やトレーサビリティ対応に関する環境を整備していきたいと考えています。
写真左:日本事務器 武井 栄介
日本事務器への評価をお聞かせください。
システムの構築に限らないことですが、商談の際、遠慮してしまうと最終的に納得のいくモノに仕上がらないことがあります。その点、日本事務器とは気軽に相談できる良い関係を築くことができています。 それが一緒に仕事をしていて、一番良いと感じるところです。
正直、無理なお願いをしていると感じるときもありますが、当社の要望を何とか実現しようといろいろなアイディアを出してくれますし、それは技術力があるからできることだと思います。大手のメーカーなどではこのように柔軟な対応はしてくれないと思いますので、日本事務器を選んで本当に良かったと思っています。
今後、日本事務器へ期待することは何でしょうか。
これからもさまざまな相談やお願いごとをすると思いますので、めげずに応えていただければと思います。またシステムの専門家として、最新情報の提供やシステムの導入効果をさらに高める提案を期待しています。
社名 | 伊賀越株式会社 |
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所在地 | 三重県伊賀市ゆめが丘7-2-1 |
従業員数 | 90名(2009年現在) |
事業内容 |
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URL | http://igagoe.tennengura.jp/![]() |
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