医療法人(財団)健隆会
戸田中央 総合健康管理センター 様
「コンシェルジュ」がガイドする最先端の健診サービスをサポート
「健診センター」「企業健診(巡回)」「脳ドック」の3施設を集約した総合健診センターがオープン。最先端の機器を完備した全国有数規模の健診センターを新総合健康管理システム『CARNAS(カルナス)』が支えています。
導入の背景・経営上の課題
3施設を集約して“より質の高い健診サービス”を実現する。
近年、高齢社会の進展とともに、人間ドックや脳ドックなどの“予防医学”や、早期発見・早期治療に結びつく“質の高い健康診断”を求める声が高まっています。そうしたなか、医療・介護事業を手がけてきた戸田中央医科グループ(TMG)様は、「健診センター」「企業健診(巡回)」「脳ドック」の3施設を集約することを決定。2010年2月1日、単独型の総合健診施設としては埼玉県で最大級、全国でも有数規模の「戸田中央 総合健康管理センター」を開設しました。
5階建ての建物の内部には、脳血管だけでなく心臓冠動脈撮影も可能なMRIのほか、全身の異常部位も検出可能なマルチスライスCT、乳がんの早期発見に有効なマンモグラフィーなど、さまざまな最新鋭の診断機器を備えています。また、3施設のスタッフはもとより、女性健診においても経験豊富なスタッフを配し、それぞれが有機的に連携して各種疾患の早期発見に取り組んでいます。
センター長である河内堯氏は、同センター設立の目的を次のように語ります。「3つの部門を1つにまとめようという話が出たのは、2008年8月頃だったと思います。目的は、それぞれの分野で経験豊富な専門スタッフを集約させて、もっと便利で、もっと質の高い健診サービスを実現することにありました」(河内氏)
そして、同センターの基盤となるのが、受診者の予約から受付、受診結果の報告、請求、フォローアップまでをきめ細かく管理するためのシステムです。システム選定の経緯を事務長の高橋三昌氏が振り返ります。
「最も大きな課題は、これまで別々に構築・運用してきた『健診センター』『企業健診(巡回健診)』『脳ドック』のシステムを1つに統合することでした。併せて、職員や医師からも『受診者に画像を見せながら説明したい』、あるいは『フィルムレス、ペーパーレス化を進めたい』などいろいろな要望が出てきたため、いくつかのシステムベンダーに依頼して総合健診施設にふさわしいシステムのあり方を提案してもらうことにしたんです」(高橋氏)

NJCを選択した理由
限られた時間の中でも“理想形”を提案したことを評価。
TMG様の3施設のうち、NJCは、健診車を使った出張人間ドックなど「企業健診(巡回健診)」のシステムを担当してきました。一方で、NJCには、総合健康管理システム『HI-net/21』を約250社の健診企業様に提供するなど、長年にわたって健診業務をトータルにサポートしてきた実績があります。
こうした経験と知見を活かし、施設内健診から巡回健診まで幅広い健診サービスをカバーする新総合健康管理システム『CARNAS(カルナス)』を開発・提案しました。CARNASには、予約状況を視覚的・直感的に把握できる「バーチャート」、部門間の連携を支援する「コミュニケーションツール」、部門に関係なく受診者の健診データが参照・表示できるなど、情報共有の促進と日常業務の効率化を実現するためのさまざまな機能が搭載されています。
高橋氏は、NJCが提案した『CARNAS』について、「戸田中央 総合健康管理センターのオープンは、2010年2月と決まっていましたから、残り1年くらいしかありませんでした。そうした条件のなかで、NJCが提案してきた『CARNAS』は、私たちが描いた“理想形”に最も近いものでした」と評価します。
こうして2009年2月、NJCの『CARNAS』の導入が決定しました。

導入時の工夫や苦労など
「コンシェルジュ」をサポートするために『けんしんくん』を活用。
戸田中央 総合健康管理センター様の特長の一つに、「コンシェルジュ」というスタッフの存在があります。コンシェルジュとは、もともとホテルで宿泊客の要求に応じて街の案内や観劇の切符の手配などをする係のこと。同センターでは、来院と同時にコンシェルジュが随行し、受診者を案内・誘導します。
同センターが何よりも重視したのは、受診者の方を“待たせない、迷わせない”こと。このため、全フロア合わせて11名いるコンシェルジュがスムーズに連携を図れるよう、モバイル端末を用意しました。
「というのも、検査項目は受診者の方によって異なるため、すべての方が同じ順番で検査を受けるわけではありません。たとえば健診を受けたあと、レントゲン撮影に行く方もいれば、医師との面談へ行く方もいらっしゃいます。当然、階の移動など導線も変わりますから、リアルタイムにコンシェルジュが動きを把握し、モバイル端末で通信し合う必要があるわけです」と話すのは、同センターの巡回健診部の係長であり、今回のシステム構築の実務を担当された中島雅美氏です。
この「モバイル端末と通信する」という仕組みに着目し、NJCは健診データ収集システム『けんしんくん』を提案。コンシェルジュのモバイル端末と連動させることで、各種の検査機器の測定データを自動収集する仕組みを低コストで作りあげました。さらに、同センターの各フロアにカーナビのようなモニターを設置することで、「いま、受診者様がどこにいるか」「次の検査種別と場所はどこか」などをリアルタイムで表示し、コンシェルジュをサポートしています。
「これによってコンシェルジュは、本来のサービスや説明に割ける時間をとることができます。コンシェルジュによるサービスは新たな試みでしたから、システムもゼロからの出発だったのですが、NJCは1年という短期間でほぼ満足できるところまで仕上げてくれました」(中島氏)

導入後の効果
報告書統合で受診者の満足度とペーパーレスを促進。
その後、職員や医師など各スタッフがシステム運用のリハーサルを重ね、2010年2月1日、戸田中央 総合健康管理センターがオープンしました。同センターの副センター長を務める村上博彦氏は、現状の様子を次のように話します。
「現在、血液、検尿、胸部の写真、胃の写真については、診断当日に一定程度の結果が出ますので、面談で医師が直接説明しています。また、詳細な検診結果は『成績報告書』として後日送付するのですが、以前は施設ごとに別々だった報告書も1枚に統合しました。たとえば人間ドックのコメント、脳ドックのコメント、医師の面談コメント…などをすべて同じ報告書にまとめるわけです。これまでの記入方法や書式から全く変わりましたので、われわれ医師も慣れるまで3~4カ月かかりましたが、受診者サービスの向上という意味では、この方式にして正解だったと考えています。もちろんペーパーレス化も進みました」(村上氏)
同じく受診者サービスという観点から、副センター長の平野隆氏は次のように話します。「以前は、受診者の方に最初から最後まで受診票を持ち歩いていただき、それで検査項目が終わったか否かをチェックしていました。しかし今では、コンシェルジュのサポートを通じて、受診者の方が意識しなくても検査終了までスムーズに移動できる仕組みを確立できました。これは大きな成果だと思いますし、多くの方から好評をいただいています」(平野氏)
現在も、『CARNAS』の運用改善やさらなる活用に向けて、毎週月曜日に医師を含む各部署の責任者が集まって意見交換しています(構築当初の約3カ月はNJCスタッフも定例会議に参加)。

今後の展開
海外の受診者の受け入れも視野にサービスを強化。
近年、官公庁では、中国の富裕層などをはじめ、外国の人々を日本の健康診断と観光を組み合わせた「医療観光」へと呼び込むPRを本格的にスタートさせました。日本の高度な医療技術をアピールし、訪日外国人旅行客3,000万人の達成につなげようという考えです。
同センターも外国人の受診者拡大には注目しており、「言語の問題や、結果が出たあとのフォローアップなどクリアすべき課題はありますが、検討は進めています」(河内氏)
さらに河内氏は、今後、受診データの蓄積に伴って、システムをさらに有効活用できるという期待を寄せています。
「オープンから1年以上経てば、去年のデータと画面で見比べたり、報告書に記載したり、というケースが増えていくでしょう。そうしたなかで受診者が求めるニーズにもっと応えられるような健診のあり方も見えてくるのではないかと思います。併せて、リラクゼーションルームやレディースフロアなど、受診者の方々が快適でくつろげる空間を提供することで、より多くの方に健診や人間ドック、脳ドックを定期的に受けていただきたい。受診者サービス向上の追求を通じて、地域住民の方々をはじめとする皆様の健康に対する意識の向上や啓発につながればと考えています」(河内氏)

プロフィール
医療法人(財団)健隆会 戸田中央 総合健康管理センター 様
所在地 | 埼玉県戸田市上戸田2-32-20(戸田中央産院跡地) |
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開設 | 2010年2月1日 |
業務内容 | 人間ドック・一般健診(診察、生理検査、X線検査、超音波検査、血液検査、尿検査など)/脳ドック/乳がん健診/レディースドック/巡回健診 など |


センター長
河内 堯(かわうち たかし)氏

副センター長
村上 博彦(むらかみ ひろひこ)氏

副センター長
平野 隆(ひらの たかし)氏

事務長
高橋 三昌(たかはし みつまさ)氏

巡回健診部 係長
中島 雅美(なかじま まさみ)氏